「あいつはゴリラみたいな奴だ」と言われたら、大方の人はバカにされていると感じるだろう。
たぶん言った方の真意は「頭の出来はイマイチだが力だけはある奴」とか、あるいは単に「頭がイマイチ」といったところか。
しかし、ゴリラと人間は似た存在だ。子どもの頃から友達や家族といった社会的絆を形成し、知能も高く、繊細。常に群れを作り、その群れの中では明確な上下関係がある。この上下関係の争いでストレスを抱えることもある。さらに、自分が怪我をするリスクがあるときは、多少の怒りを我慢して争いを避ける。それでストレスを溜めてお腹が痛くなることもある。これって、まるで人間そのものではないか?
私たちもまた職場での上下関係などの人間関係でストレスを抱え、体調を崩すこともある。ただ、人間とゴリラの違う点は、人間は偏見や主観で考えて行動する一方、ゴリラは本能的に生きているところだ。
この本能的なゴリラの性質を考えることで、私たち人間もストレス対処へのヒントを得ることができるかもしれない。
悩み事でメンタルが弱りがちな人間が、本能的なゴリラ目線を獲得することで、「メタ認知」を身につけ、「鋼のメンタル」を手に入れようというのが、『鋼のメンタルを手に入れる ゴリラ式メタ認知トレーニング』 (いっちー著、ぱる出版刊)だ。
世界初のバーチャル精神科医のいっちー氏が、ゴリラについて考えることで「メタ認知」を手に入れる方法を紹介する。
「メタ認知」とは「自分を客観的に見る能力」のこと。仕事や人間関係でうまくいかなかったとき、思い描く理想の自己像と現実のギャップに気づき、落ち込むこともあるだろう。そんなことにならないために、メタ認知を身につける必要があるのだ。メタ認知は、ビジネス、勉強、恋愛においても重要な要素である、といっちー氏は述べる。
このメタ認知を身につけるために見習いたいのが、本能的に生きるゴリラだ。たとえば、スケジュール管理がうまくいかなかっとき、「ゴリラだったら、どう言うか」考えてみるのだ。
ゴリラならきっと「そもそも無理なスケジュールだったじゃん?」とシンプルに考えるのではないか。失敗したときにネガティブに考えるのではなく、視野を広げるためにあえて「言い訳」を考えるようにする。
「言い訳ができる」ということは「もっと他の選択肢もあった」「もっとできることもあった」と考えているということ。つまり、自分の中で「伸びしろがある」とポジティブに考えることでもある。落ち込んで次の行動をとれなくなるようなら、言い訳をしてでも行動した方がいい。
自分に自信がなくなったときは、ゴリラの視点で合理的に次に進む道を決めればいいということだ。そうすることで、メタ認知を鍛え、身につけることができる。
メタ認知を鍛えることによって、気持ちが揺れ動いてもすぐに安定した状態に戻れる「鋼のメンタル」を手に入れることができれば、「メンタルが弱い」と自覚している人も、何があっても気持ちがぶれることなく安定した生活を送ることができるはずだ。
いっちー氏が提唱する「ゴリラ式メタ認知」、ゴリラのことを考えながら実践してみてはどうだろう。
(T.N/新刊JP編集部)
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