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名刺獲得が3.5倍に 成果につなげるための営業の「工夫」とは?

  • 書名 最新版 飛び込みなしで「新規顧客」がドンドン押し寄せる「展示会営業」術
  • 監修・編集・著者名清永健一
  • 出版社名ごま書房新社

営業がなかなか上手くいかないと悩む中小企業は多い。

人手不足で新規開拓ができない、持っている技術は素晴らしいが売り込む力が弱い。
そうした問題を解決するのが「展示会営業」という方法だ。

展示会に自社ブースを出展することで「新規顧客獲得」をはじめとした営業が抱える問題を一気に解決できるというこの営業術。そのノウハウを詰め込んだ『最新版 飛び込みなしで「新規顧客」がドンドン押し寄せる「展示会営業」術』(ごま書房新社刊)を上梓した展示会営業®コンサルタントの清永健一さんにお話を伺った。

(新刊JP編集部)

■展示会への出展も「受注につなげられなければ意味はない」

――『最新版 飛び込みなしで「新規顧客」がドンドン押し寄せる「展示会営業」術』についてお話をうかがいます。まずは本書を出版した経緯から教えていただけますか?

清永:これまで「展示会営業」についての本を2冊出させていただいたのですが、非常に好評をいただいていて、ロングセラーを続けています。
「展示会営業」は展示会に出展して、顧客を獲得し売上につなげるという営業手法ですが、その手法の広がり、そして展示会業界の活況もあって注目を集めているということで最新の事例を加えた「最新版」を出版しました。

――最近の展示会の活況ぶりについて教えて下さい。

清永:この本にも書かせていただきましたが、展示会の開催件数も増えていますし、来場者、出展社数も伸びているので、規模が拡大しています。ただ、その一方で、そんなに深くに考えずに情報収集に来るというような来場者も増えている部分も見られます。

――というと?

清永:商品やサービスについて、「購入を検討しよう」とか「きちんと情報収集しよう」と思って展示会に来場するのではない来場者が増えたということです。だから、出展社側が「さぁ!今日は売上をつくるぞ!」と意気込んで当日を迎えると逆に上手くいかない。そういうケースが多く見られるんです。

展示会のその場で商談がまとまることはあまりないので、出展社側が次につながる仕掛けをつくっておくことが大事になりますね。

――つまり、顧客をつかむための「工夫」がブースに必要になっているわけですね。

清永:はい。出展社側があらかじめ受注までの導線を設計し工夫して展示会に臨めば、来場者は、優良顧客になり得ます。そこに対応する必要が出てきているということですね。

例えば、化粧品の大型展示会「ビューティーワールドジャパン」に出展された会社さんにアドバイスしたことがあるのですが、そのときはブースに掲げられていた「頬のシミを撲滅」というフレーズの中の一カ所を変えたんです。そうしたら名刺の獲得枚数が3.7倍になりました。

―― 一気に目を引くようになったわけですね。なんでしょう。「撲滅」という言葉が少し重い雰囲気を漂わせていますが...。

清永:そう思いますよね。でもそこではないんです。そこではなくて、「頬」を「ほっぺ」に変えたんです。ただ、それだけです。出展社側からすると「『頬』も『ほっぺ』も同じじゃないか!」と言いたいところだと思います。その通りなんです。でも、来場者はそこまで深く考えて展示会を歩いていません。どちらかというと、ボ~っとしながら回遊しているんです。その中でいろんな情報が目に飛び込んでくる。すると何に目が行くかというと、普段から自分が使っている言葉なんです。「頬」ってあんまり使わないですけど、「ほっぺ」なら使いますよね。

――キャッチコピーの力が問われますね。

清永:キャッチコピーというと少しおしゃれにしないといけないような気がしますが、何より重要なのはわかりやすいことです。だから「ベタ」でいいんです。来場者が日ごろから心の中でつぶやいていることをそのまま書くようなイメージですね。
逆になかなか来場者が寄り付かないブースは、来場者の目線ではなく、自社の商品の性能やスペックにばかりフォーカスしているケースが多いのです。

――先ほど展示会が活況であるとおっしゃっていました。その中で清永さんに寄せられる出展会社側の相談はどのようなものが多いのでしょうか。

清永:いろいろなものがありますが、大きく言うとふたつに集約されます。一つは「どうブースをつくればいいのか分からない」という悩み。もう一つは、「出展するのだけれど成果が出ない」「一生懸命やったけれどどう評価していいのか分からない」といったものですね。
展示会というのはある意味特殊ですから、単に出展するだけでは上手くいかないのは当然です。

――では、「成果が出ない」「評価がしにくい」といった声に対する回答としてはどのようなものがありますか?

清永:プロセスごとの目標をつくっていくことが必要です。まず、展示会に出展することで最終的にどのくらいの売上をあげたいか。まずはそっから決めるべきなのに、実は多くの企業が最終的に得たい売上を決めずに出展しているんです。

――ただお祭りとして出展するだけになっている。

清永:そうですね。確かに出展したら、知名度は上がるかもしれません。でも、知名度を上げるという目的ではいまいちです。知名度がどのくらい上がったかというのは測定できないからです。測定できないことを目的・目標においても検証できませんよね。

売上につなげるにはどうすればいいかというと、最終的にはこのくらいの売上が得たいから、この展示会を通して出会った見込み客から受注を何件取りたいという具体的な数字を、期限を決めて設定するんです。

――その期限はどのくらいのがいいのでしょうか。

清永:それぞれの企業さんによって商談のリードタイムが違いますから、さまざまです。ただ、何件受注取りたいかを設定すれば、そこに対して何件見積もりを提出すればいいのか、そこに行き着くために、展示会では当日何枚名刺をもらえばいいのか、などが逆算できるようになります。

「名刺を●枚獲得するぞ!」と名刺獲得枚数だけを目標値に設定する会社さんも多いですが、それでは意味がありません。ブースに人だかりができて、たくさんの名刺が集まったからといって、それが成果につながるとは限らないからです。名刺はたくさん獲得できたけれど、そこからの受注はゼロだった、というケースだってあり得ますからね。だから、展示会では「受注につながらなければ意味がない」と割り切ることも重要なんですよね。

(後編に続く)

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