最近なんとなく体が重い。疲れやすくなっている。そして、精神的に落ち込んでしまう。
そんなときは自分の生活――それも食生活を見直してみるのも手です。
「健全な精神は健全な肉体に宿る」とはよく言われますが、もしかしたら脳が栄養失調になっているかもしれません。
うつ病をはじめとした心の病気は、栄養不足が原因だと指摘しているのが『薬に頼らずうつを治す方法』(藤川徳美著、アチーブメント出版)です。
本書は精神科医の著者が「栄養」と「心の病気」の関係を説明しつつ、健康に戻るための栄養改善術を。実例を通して明かした一冊。
では、どんな食生活がNGなのでしょうか。
タンパク質は筋肉や骨、皮膚、臓器、髪の毛などの元で、血液中では栄養素を運んだり、体内の化学反応を仲介する代謝酵素になるなど、非常に多くの役割を担っているほか、心を落ち着かせるセロトニンや、喜びを感じさせるドーパミンという脳内の神経伝達物質を生成するために必須の材料でもあります。
ところが、日本人はそのタンパク質が不足しがちだと著者の藤川氏は言います。
運動をしている人は意識的にタンパク質を摂取しているかもしれませんが、あまり気を使わない食生活を送っていると、タンパク質の摂取量が少なくなりがちになってしまうのです。
1日に食べ物から摂取すべきタンパク質は、本書によると「50~70グラム」程度。
一方、10グラム摂取するために、牛肉(和牛赤身・もも)なら47グラム、豚肉(赤身・かたロース)なら49グラム、鶏肉(もも・皮つき)なら58グラム、そして豆腐だと100~150グラム、さらに、卵なら1.5個を食べる必要があります。
つまり、50グラム摂取するためには、豚肉だけだと245グラム、卵だけだと約7.5個食べることになります。
特に近年は、ダイエットのため1食抜く(もしくは2食も抜く)という人も多く見受けられます。こうした食生活の変化がタンパク質不足を招いているのかもしれません。
逆に、現代人が摂り過ぎなのが「糖質」。特に白砂糖や白米、小麦粉などの精製された糖質の摂り過ぎによって、血糖値を上げるホルモンがたくさん合成され、ビタミンB群やミネラルがどんどん使われてしまうと藤川氏は指摘します。
糖質過多を続けているとミネラルやビタミン不足になり、しっかり食べているのに必要な栄養が不足する「質的栄養失調」を招く怖れもあります。
また、タンパク質とともに鉄分不足も懸念しなくてはいけません。
鉄分はドーパミンをはじめとする脳内の神経伝達物質を作る過程で必須の栄養素。
欧米では鉄分を多く含む肉をたくさん食べるため鉄分不足が起きにくい環境があるものの、日本にはこうした対策がないと藤川氏は言い、赤身肉や卵を多く食べることで効率的にタンパク質と鉄分を摂取できると説明しています。
ちなみに、鉄分が豊富な食材として知られるホウレンソウや小松菜ですが、実はこちらに含まれている鉄は「非ヘム鉄」で、その吸収率は肉や魚に含まれる「ヘム鉄」の10分の1。そのため、藤川さんは動物性食品からの鉄分摂取をすすめているのです。
もちろん何事も「○○過ぎ」はいけないですが、「○○不足」も問題。
自分の食生活が乱れていないか、ちゃんと栄養を摂れているのか、もし摂れていなければ正してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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