TOEICの受験者なら誰もが知っているであろう、真っ黒な背景に浮かぶ赤字で印字されたタイトルの英単語集「英単語スピードマスター」。
2018年1月に待望の改訂版となる『TOEIC(R) L&R TEST 英単語スピードマスター』(Jリサーチ出版刊)が出版されたのだが、実はこの単語集、2004年に初版が発売されて以来、着実に売れ続け、現在は実売85万部突破という異例のベストセラーとなっている。
著者の成重寿さんはTOEIC公開テストをほぼ毎回受験しており、990点満点を取ったことのある猛者なのだが、実はこの人、出版元であるJリサーチ出版の編集者でもあるのだ。
今回はそんな成重さんにインタビュー。後編では、TOEICとはどんなテストなのか? そしてTOEIC対策のイロハ、勉強に使えるアプリなどを中心にお話を伺った。
(新刊JP編集部)
成重:はい、フィリピンのマニラに3年弱いました。フィリピンでは日常会話もビジネスも英語でしたね。
成重:もちろん、役に立ちます。TOEICはリーディングとリスニングの力を問われますが、これが英語を使うためのベースになる部分なんですよね。確かに実際にコミュニケーションを取るには話したり、書いたりすることが必要になるので、そこはご自身での訓練が必要ですが、リーディングとリスニングがベースにあったほうが会話やライティングの上達は速いです。
なので、ビジネスの現場で英語を使う人は、そこそこのスコアを出せば、あとはライティングやスピーキングの勉強を重点的にやるといいと思います。
成重:リスニングセクションについては、後ろを振り返らないということですね。できなくても悔しがったり、後悔しないことです。前の問題のことを考えていると、今現在の問題を聞き損じることがあります。試験の音声はどんどん流れていきますから、前を向いて次々に処理していく姿勢が大切です。
成重:試験の全体にわたって気持ちの切り替えが必要ですね。スポーツと似ているところがあるかもしれません。また、リーディングセクションは文章量が多いので、中級レベルくらいだと全問解けないまま終わることは普通です。だから、自分自身の時間配分をあらかじめ決めておいて、それを守りながら進めることが大事ですね。より多く解答するためには、わからない問題は適当にマークして次に進むいさぎよさも必要です。戦略と判断力、そのあたりはスポーツと同じですね。
成重:各パート別に傾向と解き方があるので、それは対策を打っておくべきでしょう。
例えばパート2(リスニング)であれば、質問に対して三択から答えを選びます。そのときに英語では最初に重要な単語がくることを知っていれば、集中して頭の単語を聞き取ることでそれに対応した正しい応答が選べます。
例をあげると、「あなたは今、何をしていますか?」という意味の英文があるとすると、日本語では「何」は途中にきますが、英語ではWhatが冒頭にくるわけですね。だから、その冒頭をしっかり聞かないと、正しい応答を選べないわけです。
成重:そうですね。「mikan」は単語の問題を次々と解いていく、とても手軽に勉強ができるアプリです。実は以前から別の本で「mikan」さんとはコラボレーションしています。今回、この本の改訂版でも一緒にやろうということになって、対応アプリを同時発売ということになりました。この本は単語集、一方「mikan」は単語の問題アプリなので、互いに補完し合って相乗効果の出る学習が可能です。
成重:(笑)そうですね。TOEICの単語については、10問中7問取れれば十分くらいですし、正解率が低くても落ち込まずに覚えることに専念してくださいね。
成重:大事なことは準備ですね。400点を500点にあげるには、250~300時間かかるといわれています。また、500点から600点、600点から700点も同じくらいの時間がかかります。
それだけ時間が必要ですから、最低でも半年くらいのタームで準備をしていくといいでしょう。計画を立てて一歩一歩前に進んでください。
成重:まさしくそうです。ただ、面白くないと勉強って続かないので、楽しめる要素を作る。TOEICの勉強の場合、自分の英語力が上がっていると感じられれば面白くなるはずです。 その点において、大切なことはベースとなる単語を覚える。そして、問題集で「あっ、知ってる」となれば進歩が分かるじゃないですか。そうやって好循環をつくっていってほしいですね。
(了)
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