ネットやテレビ、雑誌などあらゆるメディアで連日取り上げられている「女性の活躍」。正社員で働きながら家庭を持ち、子育てをする女性が「模範的なモデル」として扱われますが、それは専業主婦の立場が相対的に低くなりつつあるとも言えるのかもしれません。
しかし人生において優先するものの順位を決めるのは他人やメディアではなく、自分であるはず。
ここでは会社員を手放して新たな生き方を選んだ女性8名を取材した『会社をやめてもいいですか?』(杉本透子著、セブン&アイ出版)から、出産を機に専業主婦になる決断をした女性の葛藤と新たな気づきを紹介します。
■専業主婦を選んだ女性が感じた「負い目」とは
専業主婦として3人の子どもを育てるひぐまあさこさんは「手につかんでいるものを放さないと、新しいものはつかめませんよね。今あるものを放してみたら、また違うステージが待っているんです」と、専業主婦になる決断をした時のことを振り返ります。
もともとは会社員だったひぐまさんは、第一子を妊娠したタイミングで退職を決意しました。当時はまだ産休・育休を経て職場復帰というケースは稀な時代であり、職場にロールモデルになる先輩がいなかったことも大きかったといいます。
会社を辞めることに迷いはありませんでしたが、働くことが好きだったひぐまさんが専業主婦の生活を受け入れるには、時間がかかりました。社会の第一線から退いた感覚があり、経済的に自立していないことに肩身の狭さを感じたそう。
ただ、給料をもらえる仕事だけが価値のある仕事ではありません。そのことにひぐまさんは地域の活動や子育て、日々の生活を通して徐々に気づいていきました。自分しかできない仕事ではなくても、「今」自分がやらないと誰かが困る仕事も大切には違いありません。
子どもを育てて世に送り出すことも立派な社会貢献。そう考えるようになってから、日々の生活がより尊いものに思えてきたそうです。
◇
本書では、
ケース1:迷いなく会社をやめ、専業主婦に。「主婦のプロ」になろうと決めた(ひぐまあさこさん)
ケース2:大手メーカーを退社して不妊治療に専念(さかもとあかりさん)
ケース3:苦しかった専業主婦から好きなファッションを仕事に(林智子さん)
ケース4:競争の激しいIT企業を退社し、柔軟に働きながらウェブマガジンを主催(小路桃子さん)
ケース5:研究者の夢を思い出し、会社をやめて大学院の博士課程へ(堀内ふみ野さん)
ケース6:都心での仕事をリタイヤし、地域でできる仕事を求めて起業(遠藤かおりさん)
ケース7:IT企業や外資系企業を経て、京都のゲストハウスオーナーに(山内マヤコさん)
ケース8:フリーランスの働き方が家族のピンチを救ってくれた(清水暢子さん)
など、8人の女性たちの生き方を取材。会社を辞めて新たな生き方を選ぶ決断をした背景を紹介しています。
人生で大事なのは何を選ぶかではなく、選んだ道を肯定する力。
女性が生きていくにあたっての働き方は会社員だけではありませんし、働くことだけが「女性の活躍」ではありません。目の前には多様な選択肢があるのだということを改めて示してくれる一冊です。
(新刊JP編集部)
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