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従来型の法人営業モデルはもう通用しない。最新テクノロジー(AI)を活用した営業改革とは?

  • 書名 デジタルインサイドセールス――最新テクノロジーによる法人営業改革の実践
  • 監修・編集・著者名吉田融正
  • 出版社名ダイヤモンド社
電話、インターネット、メールを活用して非対面で営業を行う「インサイドセールス」という営業手法がある。

このインサイドセールスに、AI(人工知能)を中心としたデジタルテクノロジーを取り入れ、電話でのやりとりを分析し最適な会話を推奨したり、攻める顧客をターゲティングしたりと、営業活動のさらなる効率化を図る「デジタルインサイドセールス」という新しい営業手法が、今注目を集めている。

■インサイドセールス導入で属人的な営業から脱却


まずは、インサイドセールスの特徴と強みについて触れておこう。

従来の法人営業スタイルでは、見込み客の発掘・醸成から、提案、成約に至る全ての営業プロセスを、一人でこなすのが基本だった。しかし、営業担当者によってはプロセスごとに得手・不得手があるため、営業活動にムリやムダ、モレが生じたり、少数の優秀な担当者に売り上げの多くを頼る属人的な営業活動に終始してしまいがちである。

そこで、営業プロセスの一部を切り出し、インサイドセールスと訪問営業とで分業することで、全ての営業プロセスを効率的にカバーし、全体としての営業成績を向上させる。これがインサイドセールス導入の効果だ。

このインサイドセールスは、欧米で先行して始まったものであるが、ここに来て日本でも導入企業が増えている背景には、就業人口の減少、市場の成熟化、雇用の流動化という3つの要因がある。

生産年齢人口の減少に伴う人材不足は、日本経済が抱える構造的な問題。営業リソースの確保が困難になり、従来型の属人的な営業モデルでは、持続的な成長はなくなっている。加えて、過去の成長期に多くのものは既に行き渡っており、黙っていてもものが売れる時代ではなくなった。

このような状況において、片手間で見込み客の発掘・醸成をやっていたのでは、もはや立ち行かなくなることは明らかである。雇用の流動化も懸念される中、今いる優秀な営業担当者を守るためにも、属人的な営業モデルから仕組みを活用した営業モデルへの変革が急務となっている。

インサイドセールスの仕組みをさらに強固なものとすべく、今注目を集めているのが「デジタルインサイドセールス」と呼ばれる手法だ。

『デジタルインサイドセールス――最新テクノロジーによる法人営業改革の実践』(吉田融正著、ダイヤモンド社刊)によると、このインサイドセールスにAIなどの最新のテクノロジーを掛け合わせることで、顧客との関係構築や、顧客の潜在需要の掘り起こしが、これまで不可能だったレベルで実践できるという。

■AIが顧客動向を察知、営業戦略をプランニングする時代がやってきた!


インサイドセールスのデジタル化を語るうえで象徴的なのがAIの活用だ。

成功事例となった会話をAIに学習させ、有効な会話をナビゲーションしてくれる。インサイドセールスと顧客との通話内容を音声データとして取り込み、テキスト化。これを自然言語解析にかけ、CRMの情報と併せてAIエンジンに学習させる。通話データから、いわゆる「勝ちパターン」を分析し、共有することで営業活動の精度が向上されていく。

AIがあれば、売れる営業の勝ちパターンを顧客の反応、状況に応じて使うことができ、いちばん正解に近い結果を出す会話をナビゲーションしてくれる。これにより平均点以上のパフォーマンスを出すことが可能となるのだ。



本書では、アメリカの事例を取り上げ、大手企業の70%はインサイドセールスの部署を持ち、半数近い46%は今後さらにインサイドセールスを強化する意思を持っているとするデータを紹介している。この流れをAIなどの最新テクノロジーが後押ししていくのは間違いないところだろう。

「デジタルインサイドセールス」という最新の法人営業の手法を活用することで、企業は変化の激しい今の時代においても成長をし続けられるということを、本書から学ぶことができるのではないだろうか。

(新刊JP編集部)

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