「勉強について悩んでいる人全般に読んでほしいですね。社会人だけではなく、学生さんにも。社会に出たら自分で学ぶ力が絶対に必要ですが、一度誰かに頼る癖がつくとなかなか治らないんです。答えはなんですか? テストないんですか? そういう風になっている人は少ないと思います」
難関資格試験の講座をオンラインで配信する「資格スクエア」の創業・代表者であり、『開成→東大文I→弁護士が教える超独学術 結局、ひとりで勉強する人が合格する』(幻冬舎刊)を上梓した鬼頭政人さんは、本書のターゲットについてこう述べる。
本のタイトルの通り、鬼頭さんは開成中学・高校から東京大学に進学、そして司法試験を突破し、弁護士としても活動を行っている、まさにエリート街道まっしぐらの人生を歩んできた。
その鬼頭さんが「結局は自分で勉強をする力がなければ頭は良くならないし、結果も出ない」と訴え、独学が継続する方法を教えるのが本書なのだ。
■なぜ人は勉強を続けられないのか?
――本書は一人で勉強を継続してできるようになるための方法を指南する一冊です。確かに独学を続けるのはすごく難しいことです。
鬼頭:そうだと思います。資格スクエアというオンラインに特化した資格試験講座を2013年から2年半やってきた中で分かったのが、8割くらいの人は勉強が続かないという悩みを持っているということでした。
そこで私たちは、「資格スクエア・リアル」という一人で勉強するための方法を教えるサービスを立ち上げました。詳しくは後ほど説明しますが、一人ひとりにメンター的な役割の人がついて自主学習をサポートしています。
勉強が続かない理由は人それぞれありますが、よく聞くのが「忙しい」という声ですね。ただ、それも言い訳にしか過ぎないところがあって、仕事が終わらないから、飲み会があるから、家族がいるから、というのは自分の正当化に他なりません。
そのような状況でも頑張って、資格試験をパスしている人がいるわけですから。
――独学力が身についている人はどんな特徴があるのでしょうか。
鬼頭:じっと耐える経験をしたことがある人、我慢をしたことがある人はこういう力を持っていますね。マラソンをしているとか、中学高校で体育会系だったとか、受験勉強もそうです。
だから、中学受験をしている人は大学受験も強いですし、司法試験にも強かったりするんですよ。
――鬼頭さんご自身は中学受験で開成に進学し、大学受験で東京大学に合格し、超難関の司法試験も突破しているわけで、独学をしっかりこなしてこられたわけですよね。
鬼頭:そうなんですよ。だから「資格スクエア」を立ち上げたときは、みんな同じ授業を受けていれば合格できると思っていたんです。
ところが、実際そうではなかった。もともと「資格スクエア・リアル」を立ち上げる予定はなかったわけですが、これはそういうニーズがあるんだと思いました。
――「資格スクエア・リアル」はどのようなサービスなのですか?
鬼頭:簡潔に言えば、「独学力を鍛える塾」です。
「資格スクエア」は人気講師の講座をオンラインで低価格で提供するサービスで、効率性を追求するにはすごく良いツールなのですが、一方でパソコンに向かって勉強し続けるのはすごく難しいわけです。
続けないと意味がないので、自学自習が継続するためにどうすればいいかと考えた時に、それを脳科学を参考にして4つの要素に分解してみたんですね。
それが「監視」「競争」「危機感」「承認」の4つです。
「監視」と「競争」は外圧的な要因で、誰かに見張られていたり、競っているということがモチベーションをあげます。
一方、「危機感」「承認」は内圧的な要因です。「危機感」は「これを終わらせないと試験に受からない!」と思えるかどうか。
「承認」は「自己承認」と「他己承認」に分かれていて、「自己承認」は自分で自分をほめてあげることですね。「他己承認」は家族や恋人、友だちからほめてもらう、認めてもらうことでモチベーションを上げます。
この4つを確保することで人間は何でも続けられるのではないかと考えて、その確保する方法を仕組み化したのが「資格スクエア・リアル」です。
――なるほど。勉強法の個別指導のような感じでしょうか。
鬼頭:ダイエットの「RIZAP」のような感じですね。指導といっても「ティーチャー」より「メンター」なので、受講者を導いてあげるような。
まずは勉強計画を指定して、それに沿って自主学習を進めてもらう。そして週1でテストを行います。そこで分からなかったことに対して個別に指導をしていくという形です。
その指導もゼミのような形式を取っているので、監視や競争の要素が含まれますし、危機感も出てきます。もちろん問題が解けたら承認します。
◇ ◇ ◇
この後、難関試験を突破し続けてきた鬼頭さんだが、勉強に本格的に目覚めるきっかけとなった、ある「事件」について語ってもらった。それは一体どういう「事件」だったのか? インタビュー後編でそれが明かされる。
(後編へ続く)