ボトル1本30万円(本体価格)の日本茶をご存知ですか?
ロイヤルブルーティージャパン株式会社(本社・神奈川県)が2014年2月に発売開始した「MASA Super premium」(マサ・スーパープレミアム)です。
静岡県浜松市天竜区の太田昌孝名人の茶畑で、手摘みで摘んだ茶葉が使われています。それも、太田名人が平成25年度の農林水産祭で天皇杯を受賞した極上の煎茶です。この茶葉を添加剤など一切使わず、3日間かけて水出しし、750ミリリットルのワインボトルに詰めます。
10本の限定生産で、売り切ったら2度と作れません。その理由はとてもシンプル。茶葉がその分しか確保できなかったからです。
驚くべきことに、このお茶、売れています。
製造元のロイヤルブルーティージャパンは、青茶(ウーロン茶)やジャスミン茶も扱っていますが、メインは日本茶です。それも、「手摘み茶葉から水出ししたお茶をワインボトルに詰めて販売する」という、これまでの業界の常識では考えられない方法を採用しています。
価格は、3000円から30万円まで。
そんな非常識さで成功を収めた同社の吉本桂子社長の初めてのビジネス書『わが社のお茶が1本30万円でも売れる理由』(祥伝社刊)。吉本社長が実践してきた緻密なマーケティングやブランディング戦略について、自ら詳しく明かしています。
「ロイヤルブルーティー 成功の秘密」とサブタイトルにあるように、同社のお茶はさまざまなビッグイベントでウェルカムドリンクとして、あるいは振る舞い茶として、採用されています。例えば、
・天皇皇后両陛下がご臨席された2010年5月の第61回全国植樹祭レセプション
・同年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力)横浜
・2013年4月、アウン・サン・スー・チー氏来日の際の晩餐会
・2014年7月、スイスでのモントルー・ジャズ・フェスティバル
などです。
また、京都吉兆嵐山本店、アロマフレスカ、ジョエル・ロブション、ザ・ウィンザーホテル洞爺、コンラッド東京、ホテル椿山荘東京、マンダリンオリエンタル東京、和倉温泉加賀屋といった錚々たるお店が使用しています。さらに、日本航空国際線ファーストクラス全便でドリンクサービスとして、外務省の国賓級贈答品としても、それぞれ使われています。
2006年5月に創業し、まだ10年にもなっていない、しかも社員は社長・会長を入れてもたった9人。そんな小さな会社が、なぜ「高級日本茶ならロイヤルブルーティー」というブランディングに成功しているのでしょう。
そこには、前述したように緻密な戦略がありました。
「お客はこちらが選ぶ」「最初の客が大事」「儲けの出ない商品をあえてつくる」「ホームページは思い切りシンプルに」「紙コップでの試飲はムダ」などなど、どれも業界の常識とは異なるものばかり。
小さな会社でも、お金をかけなくても、ここまでできる。そのことを本書は教えてくれます。企業経営者はもちろん、ビジネスパーソンにぜひ読んでほしい一冊です。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
世界で52億本 レッドブルのブランド戦略・
「1カ月限定」だったアイドルが、10年以上愛されている5つの理由・
音楽業界で初めてファンクラブを作った意外な大物・
合コンは3人一組で行け? “選ばれる”仕組みとは30万円のお茶を売る非常識なマーケティング