東京都内の526人の老齢年金・厚生年金受給者が国を相手取り、2012年11月に改定された年金関連法が、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法25条に違反するとして訴訟を起こしたことで改めて注目を集める年金。
今回の訴訟の焦点は、ひとことでいえば前述の年金関連法によって「年金が削減」されたことだ。生活を年金に頼る人も多いため、減額には納得しがたいという原告側の気持ちもわからなくはないが、若い世代にとってもっと気になるのは、「自分の老後」だろう。
今後、年金の受給条件がさらに厳しくなった場合、老後に備えてどれくらいの貯金をしておけばいいのか、『30歳からはじめる お金の育て方入門』(渋澤健・中野晴啓・藤野英人/著、同文舘出版/刊)は、その不安に答えてくれる。
普通のサラリーマンであれば、60歳で定年退職したとして、そこから20年~30年ほど人生は続き、年金の方は受給年齢が上がる傾向にあり、さらなる「減額」も考えられる。これを踏まえると、貯金はどれくらい必要なのだろうか。
本書によると、目安として2500万円~3000万円くらいの貯蓄があれば、老後は安泰といえるようだ。希望するライフスタイルによっても異なるが、年金を受け取りつつ、貯蓄の一部を切り崩しながら生活していくのであれば、だいたい2500万円と言われている。
しかし、賃金が上がらない現在、2500万円という貯蓄を作るのはほとんどの人にとって至難の業だろう。
もちろん、貯金のためには節約も大事ではあるが、本書では節約のみで貯金することは勧めていない。それよりも、自己投資を行い、自分自身の付加価値をどんどん高めていくことに重点を置き、「お金を稼ぐ力」を強化する方に重点を置いている。
節約、節約といって手元のお金を抱え込むと、逆にお金を稼ぐ力をつけるチャンスを逃すことになる。このことは常日頃から胸に留めておくべきだろう。
年金はもう、自分の老後を保障してくれるものではなくなっている。この制度に頼ることなく生きていけるよう、今のうちからお金に関する知識を蓄えたり、貯金をすると同時に、何歳になってもお金を稼げるような準備も進めておきたいところだ。
(新刊JP編集部)
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