ネットで年収1億円を稼ぐ「ネット起業家」という存在をご存知だろうか?
ビジネス書作家・水野俊哉氏は、自著『マネー&フリー 僕らが楽して大儲けした57の秘訣』(サンクチュアリ出版/刊)で、情報商材ビジネスによって成功を収めている6名のネット起業家たちを取材、彼らの実態に迫っている。
■「ノウハウ」と「エンターテインメント」を売って年収1億円
日本の「情報商材ビジネス」のパイオニア的な人物に、川島和正氏がいる。
川島氏は元々、外資系製薬会社の営業マンだったが、医療系機関専用のホームページの広告サイトを立ち上げて独立。さらにそのサイト上で「7日間情報販売システム構築プログラム」という情報商材を販売し、わずか8カ月で2700万円を売り上げたという。
さらに著書がベストセラーとなり、十分な金銭を得た川島氏は、以後世界数十カ国を旅しながらも常に年収1億円をキープし続けている。
川島氏はかなり早い時期にこうしたビジネスに参入したため先行者利益を十分に得ることができたということは確かに言えるだろう。
しかし、ネットビジネスは基本的に元手がほとんどかからず、それゆえに参入障壁が低く、「儲かる」とわかれば次々と新規参入者が出てくる。そんな中で、川島氏が10年近くも年収1億円をキープできているのは、常に自分のビジネスを人の半歩先に進化させ続けているからだ。
今の川島氏のビジネスは、もはや単に「インターネットを使って自分のノウハウを売る」という段階にはない。
2010年以降、「川島塾」と銘打ち、自身のビジネスからプライベートまで、全てのノウハウを教える「塾」を開設、2か月に一度、京都やハワイ、上海など世界各地に塾生を集めてレクチャーをする、というのが現在の川島氏の主なビジネスとなっている。
驚くべきは、会費120万円のプラチナ会員が30人、会費36万円のゴールド会員が170人と、高額な会費にもかかわらず参加者が集まることだ。
この塾で川島氏はセミナーを開催したり、塾生と直接面談したりと、通常の「情報商材ビジネス」と一線を画した、対面を重視する指導を行っている。ここで大事なのは「僕が提供しているのはエンターテインメントと学びです」と川島氏が語るように、ノウハウの伝達だけで終わらないことだ。「あの川島さんが直接教えてくれた」「行ってみてよかった。楽しかった」という「エンターテイメント」を混ぜ込むことで、塾生に満足感を与えているのである。
つまり、現在の川島氏のビジネスは単なる「塾講師」ではなく、アーティストやアイドルに近い。水野氏は、「川島塾」を「ディズニーランド」にたとえているが、ミッキーマウス(川島氏)に会いに繰り返しやってくる塾生が多くいることを考えると、適切な表現ではないだろうか。
本書では、この他にも情報商材ビジネスの成功者たちが取り上げられ、その手法と本音が描かれている。当たり前の話だが、成功者とされる実業家はそれぞれに独自のビジネススタイルを編み出しており、「情報商材ビジネス」とひとくくりにできない多様性が面白い。
そこからは、他の業界、他のビジネスにも応用することのできる創意工夫や考え方が見つかるはずだ。
(新刊JP編集部)
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