私たちは文章を書く機会に溢れている。取引先に送るメールの文面や企画書といったビジネス文章から、ブログやツイッター、FacebookなどのようなSNSでの情報発信まで。その文章によって私たち自身の評価が決まることもある。
だからこそ、伝わる文章、説得力のある文章、質の良い文章を書く技術を身につける必要があるのだが、そんな文章を書くには、どうすればいいのだろうか?
『“ふくしま式200字メソッド”で「書く力」は驚くほど伸びる!』(大和出版/刊)は、元公立小学校教師で、ふくしま国語塾を主宰する福嶋隆史氏が“書く力”を身につけるための技術を教える一冊。
実は本書、子どもに国語を教える親のために書かれた本だ。しかし、そのメソッドは大人になっている私たちにとっても必要なものであり、参考にすべきものである。では、説得力のある文章を書くようになるためには、どうすればいいのだろうか?
■まずは内容よりも「どう書くか」にこだわる
文章を書くときに、どうしても「内容」にこだわってしまう人はいるはずだ。しかし、重要なのは内容よりも「どう書くか」、つまりは「型」を覚えてしまうことである。内容はその都度変わるものだが、「型」は基本的には変わらない。「型」の中に内容を流し込むのだ。
■「分かる」とは一体何だろう?
著者の福嶋氏は、読者に「分かる」の意味を問いかける。
何かを主張するときに、相手に「分かってほしい」という想いを込めて言葉にするわけだが、ではそもそも「分かる」とはなんだろうか?
正解は「分ける」こと。
そして、その分けたものを「対比」し、「違い」を見出したとき、人は「分かった」と表現するのだ。
例えば、部活動でサッカー部を選んだ子どもに、「どうしてサッカー部を選んだのか」を問いかけたとしよう。「なんとなく楽しそうだったから」という回答と「野球とは違って試合にスピード感があるから」という回答では説得力が違う。それは、後者の回答が「野球」というスポーツと対比され、特徴の違いが表現されているからだ。もちろんこれに肉付けをすれば、より「分かっている」と言える文章表現になる。
この「対比関係」は、本書で提唱されている「ふくしま式200字メソッド」の根幹だ。「分かってもらう」ためには、一見類似した物事の間にある「違い」を強調・明示し、両者を「分けて」示す必要がある。
これは私たちが普段、意思決定をする上で無意識に行っている思考プロセスであり、文章の書き方がそのまま思考の仕方につながっていることが分かるだろう。
■型を覚えて200文字で訓練をする
ここまでは「ふくしま式200字メソッド」の基礎的な考え方を説明した。
では、いよいよ「ふくしま式200字メソッド」の全貌を明かそう。そのメソッドは以下のような文章の「型」である。
( ア )は、〔 1 〕(な)ため、〈 A 〉である。
しかし、( イ )は、〔 2 〕(な)ため、〈 B 〉である。
だから、( ア )よりも( イ )のほうが〈 C 〉であると言える。
文章はおおまかに「根拠」→「結論」と流れていく。この型の場合、前2行が「根拠」部分であり、後1行が「結論」となる。そして、その「根拠」の部分で対比を行う。アには「野球」、イには「サッカー」といった具合だ。
この型の心臓部は「ア」を否定し、「イ」を肯定するという対比の部分。ここさえちゃんと押さえていれば、感想、意見、主張などを含む文章であれば、いくらでも書くことができると著者は述べる。
本書はこの「型」を基本として、文章の質を高めるための技術を教えてくれる。もちろん、「味のある文章」「個性的な文章」を書くことだって可能になる。また、最初は200字からのスタートだが、長い文章にも対応できるようになっている。
子どもに文章の書き方を教えるために読んでみてもいいのだろうが、それだけではもったいない。自分自身も「型」を身に付け、仕事にプライベートに活用してみてはいかがだろうか。きっと役に立つはずだ。
(新刊JP編集部)
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