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人気研修講師が実践する“考えるときに気をつけること”

 ビジネスにおいて考え方を身につけるということは、ビジネスパーソンとしての基礎を身につけることに値する。
 ロジカルシンキングや常識の枠から抜け出すための思考術など、身につけておけば必ず役に立つものなのだ。

 『“思考停止人生”から卒業するための個人授業』(ごま書房新社/刊)は研修講師一筋25年以上のベテラン・潮田、滋彦さんが、読者であるあなたのために、思考術の個人授業を行ってくれる一冊。ロジカルかつ自由奔放に考えるための方法が解説されている。
 今回は著者の潮田さんをお招きし、どうしてこうした思考術が必要なのか、どのようにすれば身につくのか、お話をうかがった。今回はその前編をお送りする。
(新刊JP編集部)

■研修講師が実践する「人への教え方」

――潮田さんはこれまで25年以上にわたり研修講師としてご活躍されてきましたが、研修講師になったきっかけを教えていただけますか?

潮田:きっかけは大学生の頃にしていた塾講師ですね。地元の小さな進学塾なのですが、小学生の頃に通っていたところで、たまたま街で校長先生と出会い、「小学生の頃、成績良かったのだし、(講師を)やってみないか?」と勧誘されまして(笑)。普通、塾講師は問題集をコピーしてそれを生徒に解いてもらうというやり方をするのですが、私はその方法では身に付かないと思い、英語の問題集をすべてオリジナルで作成して生徒にやってもらっていたんです。そのときに人に教えることの楽しさを知ったのが原点ですね。
そして、そのエピソードを小耳に挟んだ会社の人材開発の部門長が「講師をしてみないか」と私を引っ張ってくれて、講師を実際に始めたのですが、人に教えることを通して自分自身も成長できますし、天職だと思っています。

――何でもそうですけど、人に教えるのは難しいことですよね。

潮田:すごく難しいと思います。でも、だからこそやりがいがありますよね。

――その中で分かりやすく教えるために気をつけていることはありますか?

潮田:気をつけていることは3つあります。1つ目は分かりやすく実感できる研修にすることです。「なるほど、これは使えるな」と思ってもらうんです。「納得」はとても価値のあることなんです。
2つ目はロジカルであることと同時に、感性に訴えることも大事だということです。ロジカルに説明をしなければ納得できない人もいれば、小難しくいわれるのが嫌だという人もいます。全員に分かってもらうためには、ロジカルも感性も両方大事なんですね。どちらもできれば、全ての人の心にフィットできます。
3つ目は臨機応変にやることです。研修は生き物で、同じプログラムを立てていたとしても、一度も同じようには進みません。受講者が違えば問題意識も違います。そのときに求められているベストをすることを心がけています。
この3つに気をつけているのですが、研修が終わったあとに、「学ぶって楽しいな」と思ってくれればありがたいですね。

――大部屋の中で100人もの受講生を前に研修を行うこともあれば、8人くらいの比較的に少数で行うこともあると思いますが、気持ちは違うのですか?

潮田:いえ、想いは同じです。何人いても、結局は1対1の対話です。一人ひとりに語りかけることが大事なので、何人受講者がいても、気持ちは同じですね。

――この『思考停止人生から卒業するための個人授業』は、個人授業というタイトルの通り、「先生」と「ヤマダくん」の個人レッスンの形式で展開されます。この2人のキャラクターにモデルはいるのですか?

潮田:面白い質問ですね(笑)。「先生」は私自身がモデルなのですが、「ヤマダくん」は昔の自分であり、研修で出会う受講生であり、一般的な世の中の人たちです。いわゆる、先生への突っ込み役ですね。

――「ヤマダくん」の言葉に昔のご自身や、研修の受講生たちの声が投影されているわけですね。

潮田:そうですね。「先生」の言葉をそのまま鵜呑みにしてもいけない。自分で考えることが大事です。「ヤマダくん」には、みんなが多分突っ込みたいだろうなと思うところで突っ込んでもらっています。彼がいることで、より深く物事を考えられるようになる。そんな役割があります。

――本書ではロジカルシンキングともう一つ、自由に考える方法を教えてくれますよね。このうちのロジカルシンキングは、ノウハウとして覚えたいと思って本を読んだりする人も多いと思うのですが、なかなかそれを使うというところまでいかないように感じます。

潮田:考え方のノウハウは使ってなんぼなんですよね。知っているだけでは意味がありません。知ることで、新しいことができるようになる、日々の生活の中の問題を解決する。そこまで使いこなせなければ宝の持ち腐れです。使いこなせないと頭を整理して物事を伝えられないし、ピントもブレてしまいます。

――本書の中に出てくる「MECE」なんかも、「分ける」ということは知っていても、具体的にどうすればいいのか分からなければ使えない。

潮田:そうなんですね。研修を通して難しいケーススタディを解いてみても、自分の職場の中で使えるように落とし込んでいかないと意味がないんです。
MECEはとても分かりやすい思考法です。日常の中にもたくさんありますよ。例えば、午前と午後、月火水木…といった曜日。これもMECEですね。実はMECEは生活に密着しているものなんです。物事をしっかり分けられていないと混乱してしまい、情報を整理できなくなってしまいます。
すっきり整理することでメッセージを伝えることができたというような、身に染みて分かるような経験があれば、一気に自分のモノにできるんです。そうなれば使えるようになる。自分とは関係ないと思われると、なかなか身に付かないですね。

(後編に続く)

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『“思考停止人生”から卒業するための個人授業』著者の潮田、滋彦さん

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