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アーリーリタイアメントは本当に可能?―プロが教えている賢いキャリア設計法(4)

 「転職をしたい」「年収をあげたい」といったものから、「社会を変えるような会社をつくりたい」「早めにリタイアして悠々自適な生活をしたい」といったものまで、これらはすべて自分のキャリアをいかに設計するかで成し遂げられるかどうかが決まります。

 でも、キャリア設計ってどうすればいいのか分からない、そう思っている人も多いはず。そんなときに参考にしたいのが、マッキンゼーやBCGをはじめとするコンサルティングファームや投資ファンド、事業会社の経営幹部、起業家など1000人超のキャリアチェンジを支援してきた渡辺秀和さんの『戦略コンサルタント、外資系エグゼクティブ、起業家が実践した ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社/刊)です。

 自分の人生を成功に導くためのキャリア設計の方法を教えてくれる本書を参考に、「キャリア」について考える新刊JPの連載、第4回のテーマは「アーリーリタイアメント」についてご紹介します。

■45歳で早期退職。資産はどのくらい必要?

 「アーリーリタイアメント」とは、早めにリタイア(退職)するという生き方。「若いうちに一発当ててお金を稼いで、40代で会社を辞めて海外に移住し、悠々自適な生活をおくる」というような願望が語られたりしますが、これは一つのアーリーリタイアメントの形。今では書籍や雑誌の記事などでもよく目にするようになりました。しかし、「楽をしながら、そこそこの収入を得る」方法を書いているだけで、完全なアーリーリタイアメントとはちょっと異なる書籍も多いようです。

 多くの人はアーリーリタイアメントを「夢物語」と片付けてしまっていますが、実際はどうなのでしょうか。渡辺さんによれば「実現している人、または実現できる人は確かに存在する」といいます。

 では、実際どのくらいお金があれば実現できるのでしょうか。45歳でリタイアしたとして、85歳までの40年間。アーリーリタイアメントできるような人であれば、贅沢な生活もしたいでしょうし、子どもがいれば教育費が必要になるでしょう。資産運用をすると言っても、リーマンショックのようなことが起こらないとは限りません。仕事から離れるのであれば、収入の当てはなくなるわけですから、手堅く準備する必要があります。その上で現実的に考えると、退職時に不動産以外の金融資産で5億円以上持っていないと踏み切りにくいと渡辺さんはいいます。

■45歳で金融資産5億円…可能?不可能?

 金融資産5億円…まったく想像もつかないという人も多いかと思います。日本で金融資産が5億円以上ある人は、5万人以下とも言われます。(日本全体の0・04%!)。つまり、アーリーリタイアメントしようと思ったら、上位0・04%に入る水準で金融資産を持つ必要があるということになります。これは、途方もなくたいへんなことです。実は、純粋なアーリーリタイアメントを実現するのはとても難しいことで、当然、普通の働き方をしていれば到達できません。

 そこで思い出して頂きたいのが、第1回の記事で登場した「あなたの年収アップを阻む「3つの壁」とは?」。「階層の壁」を越える「起業」。これは成功すれば金融資産5億円は達成できるかもしれませんね。

 本書では他に「外資系投資銀行」のキャリアや「PEファンド」「ヘッジファンド」といったファンドのマネージャーになるという選択肢も書かれています。特に海外のヘッジファンドのマネージャーは、なんと1000億円を超える年収を得ている人もいるそうです。年収だけで1000億円とは…すごい世界ですね。

 このようなキャリアを構築出来れば、アーリーリタイアメントも決して夢物語ではないようです。しかし、渡辺さんは「アーリーリタイアメントしたからといって、必ずしも幸せになるとは限らない」と言います。
 人間は社会の役に立ちたいという欲を持っています。何もしないで暮らすということは短期間であればできますが、何年もすると決して楽しくはないでしょう。実際、アーリーリタイアメントできる状況をつくった人でも、何らかの社会をよりよくするための活動に尽力しているケースが多いそうです。ビジョンや志を持ち、社会やコミュニティーに役立ち、人に喜んでもらう。チームとして喜びを分かち合う。それらの活動を通じて自身の内面を成長させる。そのようなことがなく、お金だけ持っていても人は幸せにはなれないということなのでしょう。

 いかがでしたでしょうか。
 この連載ではキャリアの設計方法についてご紹介してきましたが、本書にはほかにも、「転職先で失敗する人の特徴」であったり、「自分探しは是か非か」といったトピックであったり、「女性のキャリア設計」などにも触れられていて、キャリアを考える全ての人が役立つ知識が詰め込まれています。今の悩みや考えに合う答えが見つかるかもしれませんよ。
(新刊JP編集部)

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