スーパーやコンビニで買い物をするとき、念のため、食品ラベルや消費期限・賞味期限をチェックするという人は多いのではないだろうか。
しかし、何気なく見ているこれらの表示、ちゃんと意味がわかっているだろうか。例えば消費期限と賞味期限の違いを答えられるだろうか?
『本当にコワい? 食べものの正体』(中川基/著、すばる舎リンケージ/刊)では、皆さんが日頃「これって大丈夫なの?」と気になっているであろう、お菓子やファストフード、飲み物、そして食品添加物について、サイエンスジャーナリストである中川氏が科学的な見地から解説する。
■「消費期限」と「賞味期限」の違いとは?
冒頭の「消費期限と賞味期限の違い」という問いだが、これは食品衛生法で運用法が異なっている。
「消費期限」は、弁当、精肉、生菓子、生麺類、パン等に、製造日を含めて5日以内には悪くなってしまう食品に印刷されるもの。「製造者が定めた保存方法で、かつパッケージを開けていない状態で、その期限以内に食べる限りでは、安全においしくいただくことができます」という意味だ。当然、猶予期間は設けてあり、消費期限を1分1秒超えた時点で急に腐り出すわけではない。
一方、「賞味期限」は、インスタント麺やスナック菓子、レトルト食品などにつけられるもので、法的には「定められた保存方法である限り、期待される品質が十分のもの。ただし該当期間を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるもの」というただし書きがついている。要するに、「いついつまでは保障しますが、当面の間、食べる分には特に問題はないですよ」というゆるめの品質保証となっている。
世の中には無菌の食品は存在しない。どんなに徹底して衛生管理をしても、すべての食品には細菌がいるものだ。
逆に言えば、細菌の管理さえできれば、食品の劣化というのは、たとえ生肉であろうと相当遅くなるということだ。そもそも大半の食品自体に、菌はどこからともなく入り込んでくる。よって、賞味期限・消費期限には、「食品中の細菌が、食品全体に悪影響を及ぼすまでの猶予期間」という意味合いが含まれていると著者は説明をしてくれる。
■誰が「期限」を決めているのか?
では、これらの「期限」を誰がどのように決めているのだろうか。
本書によれば、食品ごとに法律で決められているわけではなく、製造者が材料の鮮度や加工時の衛生状態、保存状態などから、ガイドラインに沿って設定しているという。
ゆえに、食品ラベルには「製造者」というカタチでなんらかの名前が入っている。例えば、どこかのスーパーの店長が刺身の賞味期限を3年先に設定して販売しても法的には違法ではない。ただ、その腐り果てた刺身を食べてお腹を壊した人がいた場合、製造者の責任とり、食中毒を出した店舗は営業停止○日などのペナルティが課されることになる。
本書は世間で話題になっている食べ物や食品添加物について科学的な見地から解説する一冊だ。添加物は怖い。ジャンクフードは体に良くない。こういった漠然とイメージを持っているかもしれないが、実際はどうなのか。外から入ってくる情報を鵜呑みにするだけではなく、賞味期限や消費期限の意味やラベルの読み解き方やポイント、読み解くために必要な知識を知り、商品のラベルを見て自分で判断をして決めることが大切なのだろう。
(新刊JP編集部)
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