平社員時代は自分の成績だけ考えていればよかったものが、上司になると急に広い視野が求められて戸惑った経験はありませんか?
部下を育て、まとめ上げてチームとして結果を出さなければいけない「マネジャー」は大変な仕事。部下に仕事を振ることすら、最初はままならないかもしれません。
『任せきりでも10億円!週休5日社長の 任せる力』(すばる舎/刊)は、 仕事を上手に「任せる」ことで、部下の自発的な成長をうながし、チームとして大きな目標をに向かうための方法が明かされています。
今回は、著者の真藤昌瑳煕さんにインタビュー。デキる上司になるための秘訣をお聞きしました。
―『任せきりでも10億円!週休5日社長の 任せる力』についてお話を伺えればと思います。真藤さんの実体験がベースにある本書ですが、まずは真藤さんが仕事を「任せる」ことができなかった頃の心理を教えていただけますか。
真藤:会社を立ち上げた経験がある人はおわかりになると思いますが、創業した当初からマネジメントに専念できるケースというのは少なくて、ほとんどの場合はスタッフが少ないなかで創業者自身もプレーヤーとして仕事をこなさないといけません。
僕の場合もそうで、経営者であると同時にいちコンサルタントでもありました。それもあって、スタッフが増えてある程度マネジメントに専念できるようになっても、それまで自分でやっていた仕事をスタッフに任せることに恐怖感があったんです。「部下に任せることでクオリティが落ちたらどうしよう」ということで、仕事を自分で抱え込んでしまっていたんです。
―ただの上司ではなく経営者ということで、会社で行われている全てのことにかかわっていないと気が済まなかったのではないですか?
真藤:業務量が増えてくるとさすがにそこまではいかないのですが、一通り知らないと気が済まないというのはありました。こういう心理は経営者でなくても、部下をお持ちの方なら一緒じゃないかと思いますね。大体上司というのは部下が何をしているか知りたいものですから。
―真藤さんが仕事を部下に任せられるようになったきっかけがありましたら教えていただければと思います。
真藤:どうしてもスタッフに仕事を任せざるを得ない時があったんですよ。祖母が危篤で、“仕方ないから頼む”という感じで任せたんですけど、戻ってくると仕事はきちんと終わっていて、問題はなにも起きていませんでした。それを見て「あれ?彼はこんなに仕事ができる人だったっけ?」と思ったのがきっかけです。
その後も、単純に業務量が増えて一人では回らないということも出てきましたし、僕が大事な打ち合わせに出ている時にポンと新しい仕事が入ることもありました。そうなるともう任せるしかありませんし、任せてみたら思ったよりうまくいくと。じゃあ次も任せてみようかということで、だんだん仕事を部下に任せられるようになっていきました。
―そして今ではほとんどの仕事を部下に任せてしまって、ご自身は週に二日ほどしか出社されないようですね。
真藤:実は週二日も行ってないんです。今は八ヶ岳の方に住んでいてそんなに頻繁に出社できないんですよ。今月は一回出社したかな(取材日は9月下旬)。あとは給料日くらいですね。だからもう会社が何をしているかさっぱりわからない(笑)。
自由な社風なので、たまに出社すると誰かの飼い犬がいたり、奥さんや子どもがいたりで、いつも驚かされます。
―それは、大丈夫なのでしょうか……。出社しないにしてもメールでやりとりはされているんですよね?
真藤:それもしていません。会社からのメールは月に一回くらい来るかな、という感じで。
―会社の売り上げなどは気にならないんですか?
真藤:気にはなります。でも、今では僕が変に出ていくよりもスタッフの方が仕事ができますから、彼らがやったほうがいいし、そうなってしまうと僕は出社している必要はないんです。まあ、知り合いの経営者には「お前の会社の社長をやったら気が狂う」と言われますが。
―本書を読んで、上司が仕事を抱え込んでしまう理由として「自分の方がうまくできる」という自負だけでなく、「仕事を部下に任せてしまったら自分は不要になるのではないか」という恐怖心もあるように思いました。こういった感情はどのように乗り越えていけばいいのでしょうか。
真藤:周りを見回して、成功している上司を探せばいいんですよ。ずっとバリバリのプレーヤーのまま出世していく人もいるにはいますが、それはどちらかというと少数派で、プレーヤーとしてはさして優れていないものの、人望があって部下から慕われるというタイプの方が多いはずです。
もちろん、「自分はプレーヤーのまま出世していきたい」という人はそれでいいのですが、上には上がいますから、結局はどこかで壁にぶつかってしまいます。それよりも、部下の力を上手に使って成果を出していくほうが一番上までいきやすいというのはいえると思いますね。
―「何か問題が起きたらどうしよう」という不安から、仕事を任せられないタイプの上司も多いと思います。実際に仕事を部下に任せたことで何か問題が起こるケースというのはどれくらいあるのでしょうか?
真藤:僕は経営コンサルタントとして企業の研修などもやっているのですが、その一環で上司を強引に仕事から引き離すことがあります。会社に行かせないのはもちろん、電話も没収です。一種のショック療法ですね。
それでわかったことですが、よほどのトラブルが起こった場合は別として、上司がいないから仕事が回らないことなんてまずありません。だって、人事異動で何も知らない上司が来ても会社は回るでしょう?
それに、トラブルにしても、「自分がいなきゃダメだ」と思っている人ほど、不測の事態って起こらないんですよ。そういう人は常日頃から備えていますからね。逆に「大丈夫、大丈夫」って言っている人ほど危ない(笑)。
(後編につづく)
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