人は誰でも、いつかは必ず死ぬ。「そんなの当たり前でしょ」と頭ではわかっていても、いざ自分が死ぬことを想像すると、怖くなってしまったり、胃のあたりがキューッと締め付けられるようなストレスを感じたりしませんか?
なぜ、死が怖いと思うのでしょう。「いま死んだら後悔することばかりだから」「この世から自分の存在が消えることが怖い」「死ぬような病気になるのが怖い」「"死後の世界"を想像するだけで怖い」などなど、理由はさまざまでしょうが、ではこの恐怖から逃れる方法はないのでしょうか。
『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム刊)の著者・川嶋朗さんは統合医療の第一人者で、これまで5000人以上の患者さんを診てきた医師です。そんな川嶋さんは、本書のなかで、こんなことを言っています。
「人間は、いずれ死んでいきます。でもそれを意識することは、結果的に、自分の人生を豊かにすることにつながるのです」
逆説的な言い方にも聞こえますが、意味するところはこうです。
人生における生活の質や心の充実度を「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」といいますが、川嶋さんは対となる「クオリティ・オブ・デス(QOD=死の質)」という言葉を作り、このふたつこそが、人が死への恐怖心を持たないですむためのカギであると言っています。
死を恐れるのではなく、逆に、生や死について普段から考えることで、人生でのやりたいことや、目標がはっきりしてきます。それを実現させるために日々を大切に送ることができていれば、死に直面するような時にも何の後悔もなく、実に穏やかに終幕を迎えることができる。日頃から「いま」を大事にするように努めれば、死の恐怖からはおのずと抜け出せる、というわけです。QOLを高めることが、QODの向上にもつながるのです。
川嶋さんは、多くの患者さんと向き合うなかで「死について真剣に考えることが、結果として、いま生きていることへの感謝の気持ちにつながり、かえっていきいきと生きることができるのではないか」と考えるようになったそうです。
死への恐怖から逃れるには、まずそれについての自分の考えをめぐらせること。本書には、そのためのヒントがたくさん書かれています。「死ぬのが怖い」ならば、日ごろからそれに真正面から向き合ってみませんか?
(新刊JP編集部)
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