今も昔も、軍事・ミリタリーは多くのマニア・ファンを持ちます。
特に「軍艦」はルックスもスケールも抜群! 最近では「艦隊これくしょん」(以下「艦これ」)の大ヒットもあって、新しい層のファンも増えています。
ところで「艦これ」では歴代の軍艦が「艦娘」として擬人化されていますが、それぞれのキャラクターを見ると、モデルになっている軍艦の性質をよく表しています。
今回は、カバーを飾る戦艦「陸奥(むつ)」の姿が雄々しい『写真・太平洋戦争の日本軍艦 [大型艦・篇]』(阿部安雄、中川務/著、ワニ文庫・ベストセラーズ刊)を参考に、戦艦と「艦娘」を比べてみます。
■実はあまり活躍せず…おっとりした「大和」
「基準排水量64000トン」、「速力27.0ノット」、「沖縄水上特攻作戦」。これだけでマニアには充分でしょう。そう、戦艦「大和」です。
「艦これ」では、どちらかというとおっとりして控えめな「大和なでしこ」風のキャラクターとして描かれている「大和」ですが、その船体の大きさや、戦艦同士の砲撃戦を目的として建造されたにもかかわらず、航空兵力への対応がままならず、期待通りの働きができなかったという戦績からするとぴったりの性格かもしれません。
しかし、その威風堂々とした美しさは、「戦艦の女王」と呼ぶにふさわしい魅力があります。
昭和16年9月20日に撮影された、甲板に積み込まれた貨物も生々しい呉工廠での最終艤装中の写真や、同年10月20日に撮影された、宿毛沖を27.46ノットの高速で驀進中の写真など、多数の「大和」が本書には掲載されていますが、軍艦マニアならお気に入りの「大和」があるはず。米軍撮影に比べ、日本側撮影の写真が少ないのが残念です。
■英国帰りの帰国子女?「金剛」
日本初の超ド級巡洋戦艦として建造されたのが、「金剛」です。
この戦艦の最大の特徴は、「外国製」だということ。国内初の試みということで、技術導入のために英国のヴィッカーズ社に発注して、この1番艦が建造されました。
これを踏まえて「艦娘」の「金剛」は英国帰りの帰国子女という設定に。ただ、容姿は和風で、日本人らしくなっています。
ちなみに、前述の「超ド(弩) 級」の「ド」も、実は戦艦にちなんだもので、1906年に英国海軍が建造した大型戦艦「ドレッドノート」の「ド」なのだそうです。
■運動能力バツグンの「長門」
戦中、次々と撃沈されてしまった日本の戦艦のなかで、終戦時、唯一海に浮かんでいたのが「長門」です。
「長門」の特徴は、後方に曲った第一煙突。これは完成した後の改造によって曲げられたもので、前檣楼(物見やぐら)に煙が逆流するのを防ぐためだとか。日本で最初の高速戦艦ということもあり、「艦娘」もスレンダーな流線型のプロポーションで運動神経が良さそうな女の子になっています。
文庫でありながら戦艦、巡洋艦、航空母艦、水上機母艦、砲艦といった118の大型艦を収録し、実に450点もの鮮明な写真が拝める本書は、まさに貴重な一冊。写真だけでなく、軍艦についての基礎的な知識からマニア向けの濃い情報(全艦艇の艦歴と要目一覧)まで網羅していますので「艦これ」ファンの人も、そうでない軍艦マニアの人も新たな発見と収穫があるはずです。
(新刊JP編集部)
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