すでに報道されているように、来年、平成27年1月1日から、相続税法が大幅に改正されます。
「相続」というとお金持ちにしか縁のない話で、自分には関係ないと思いがちですが、決してそんなことはありません。今回の法改正によって、これまでは相続税の課税対象ではなかった人も課税される可能性がかなりあるのです。
『税理士だけが知っている お金を残すしくみ』(平澤元章/著、集英社/刊)は、そんな相続税法の改正を前に、財産の生前贈与のメリットやその際に利用すべき制度を解説した一冊。しかし、一体なぜ遺産相続でなく生前贈与なのでしょうか?
著者の平澤さんにお話をうかがいました。注目の後編です。
―お金や財産というのはとてもデリケートな話題であり、一つまちがうと家族の不和にも繋がってしまいかねません。生前贈与について、ありがちな失敗パターンがありましたら教えていただければと思います。
平澤:自分だけ抜け駆けして、後から他の人に恨まれる。
うちは兄弟姉妹の仲が良いから大丈夫と油断していても、お金が絡むと昨日までの仲の良さが嘘だったかのように後で揉めることがあります。
また、兄弟姉妹は仲が良くても、その奥さんや他人が入ってくると、問題がややこしくなる。こういったものが代表的なものと言えますね。
面倒かもしれませんが、関係者全員でよく話し合うことが後々のトラブルを防ぐという意味でも有効です。
―また、子どもや孫の側からは、親や祖父母が財産の贈与についてどう考えているのか計りにくいところもあります。税理士としてのご経験上、どういったタイプが多い、というのはありますか?
平澤:そもそも子供や孫に財産を贈る、という発想自体がなかった人もいますが、贈ろうと思っていても、どうやって贈ったらいいのかを知らなかったり、どうやって話を切り出すのかがわからずに時間だけが過ぎてしまっている、という人が大半です。
実は、親や祖父母の方も子供からのアクションを待っているということです。
―贈与について、贈る側と譲り受ける側双方が幸せになるために必要なことは何ですか?
平澤:お互いについてよく知ることではないでしょうか。お互いの夢や目標、お互いがお互いのために何が出来るのか、それをよく話し合うことが最初に必要です。その話し合いがなければ、財産を贈る側もどんな財産をどのように贈ったら喜ばれるのかが分かりませんし、財産を譲り受ける側も贈る側の期待に応えることは出来ないでしょう。
―相続する側にもされる側にも役立つ本書ですが、特に読んでほしいのはどういった方々ですか?
平澤:相続税法の改正なんて一部のお金持ちだけにしか関係のないことと思っている方にこそ、ぜひ読んでほしいと考えています。物事を表面的に捉えるとそのように考えてしまうのも無理はありませんが、もう少しだけ深く見ていくと、国は相続税の増税とセットで若年層への財産移転を推奨していることから、このことを利用すれば思わぬところで、ほとんどの人がトクをするということが分かります。これは、誰でも利用することが出来るので、ぜひとも本書を読んで、皆様のお役に立ててほしいと思います。
―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。
平澤:親が亡くなった時に備えて何かをするのは不謹慎だというご意見もあるかもしれませんが、何も備えずにいると、結局は残された家族が不幸になります。それなら、早い段階からコミュニケーションを取ることで、財産を譲り受けた方は夢や目標を実現し、財産を贈った方はそんな彼らの幸せな姿を目にする、そんな幸せを実現してみませんか?
どうか、この本を手に取っていただき、あなたの幸せを実現するためにお役立ていただければと思います。
(新刊JP編集部)
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