最近、大手企業の給料がアップするという景気の良いニュースが報じられていました。
しかし、それは一部の大手企業の話。中小企業からは景気の良い話があまり聞かれません。
では、中小企業を取り巻く現状は一体どのようになっているのでしょうか。
今回は『社長のための 1年で売上が急上昇する「黒字シート」』(日本実業出版社/刊)の著者であり、公認会計士で中小企業の支援を行っている武田雄治さんに、中小企業の現状、そして中小企業でも黒字にできる企業の特徴などをうかがいました。そのインタビュー前編をお送りします。
(新刊JP編集部)
◇ ◇ ◇
――大手の企業が給料アップを決めたというニュースが話題になっています。このことでアベノミクスに対する評価も一転して高まると思いますが、その一方で中小企業の話はあまり出てきません。中小企業の支援を行っている武田さんは、アベノミクスの影響が中小企業に出ていると思いますか?
武田:中小企業にアベノミクス効果が出ているとは思いません。慢性的に赤字の会社は今も赤字ですし、慢性的に資金繰りに悩んでいる会社は今も資金繰りに苦しんでいます」
――中小企業でも好調な業界とそうでない業界分かれているのですか?
武田:業界による違いはないですね。世間で好調と言われている業界でも赤字の会社はありますし、世間で斜陽と言われている業界でも業績絶好調の会社がありますから」
――中小企業で黒字経営を続けられる企業はどのような部分が共通していると思いますか?
武田:一時的な黒字ではなく、黒字を継続している企業は、「正しいことを」「ちゃんとやっている」企業です。
「正しいこと」とは、ひと言では言い表せませんが、倫理的価値観を持っているか、長期的視野を持っているか、消費者目線を持っているか、顧客第一主義を貫いているか、数値を追っているか、といったことです。「社長の資質」にかかるものですね。
その社長が、社員に方向性を与え、社員が実行に移しているかどうかです。
――一時期、起業ブームが起こりましたが、今の起業数は以前と比べてどうなっているのでしょうか。起業を取り巻く環境などについてお聞かせください。
武田:起業を支援するイベント等が盛り上がっているようですが、起業家が増えているという印象はありません。実際にデータを見ても「開業率」は「廃業率」より低いまま。
ただ、新規株式上場(IPO)の数が増えているのは良いことですね。IPOを目指す企業がどんどん現れて欲しいと思っています。
――今後、アベノミクスによって中小企業まで好景気の波がくると思いますか?
武田:アベノミクスと東京五輪による好景気・バブルが来ると言っている方もいますし、実際に好景気が来るかもしれません。しかし、だからといって中小企業の業績が右肩上がりになるわけではありません。我が国の人口や会社数は減り、マーケットは縮小していきます。消費税増税などによる個人への税負担は今後も増えていくはずです。中小企業にとって、厳しい環境は続くでしょうね。
中小企業に求められることは、「社会」や「買い手」の動きよりも早く、「自社」が動くことです。
(後編へ続く)
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