2014年4月に消費税増税が待ち受けている日本。しかし、大増税はそれだけではありません。2015年1月1日には相続税が増税されることになっています。
今までの相続税の対象となる家庭は全体のわずか4%程度でしたが、2015年の相続税増税では、基礎控除額が減らされることにより、相続税の対象となる家庭は多くなります。
だからこそ準備しておきたいのが、相続税の節税対策。最適な対策の一つとしてあげられるのが不動産ですが、不動産専門のコンサルタントである沖有人さんはその中でも「都心のタワーマンション」が最も効果的だといいます。
『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(沖有人/著、朝日新聞出版/刊)は相続税の節税に有効な不動産の買い方、選び方を紹介する新書。
どうして沖さんは「都心のタワーマンション」をすすめるのでしょうか。
■高層マンションであるほど有利な理由とは?
マンションの相続税評価額は、購入価格の2割程。つまり、遺産額の8割を圧縮することができます。戸建は7割、アパートは4割なので、マンションの2割の方が節税には有利ということになります。これは高層の建物ほど土地の持ち分は小さくなることが理由です。
それだけでなく、同じ面積なら、高層階の方が有利になるそうです。相続税評価は面積が同じ部屋は同じ評価額ですが、高層階の方が価格は高いので圧縮率が高くなります。
この対策を取ると、最高税率の方などは購入価格の4割程の現金(例:1億円の購入なら4000万円)を節税したことになるので、「特効薬」と記されています。
相続対策とは、預金や株などの100%時価評価される金融資産を、こうした低く評価される不動産資産に組み替えることを指します。
■節税だけに気を取られては失敗する
タワーマンション節税の原理は簡単ですが、購入する際は「8つの鉄則」をバランスよく守ることを沖さんは提唱されています。いくら評価を下げても、割高な物件を購入して値下がりしてしまったり、賃料収入が少なくて毎年の運用がマイナスになってしまっては、節税効果が薄れてしまいます。
購入する時期も問題です。相続はいつ起こるか分からないだけに生前にやっておく必要がありますし、不動産価格が高騰し始めてからでは高値づかみになってしまいます。上の例で、物件価格が2000万円の値下がりをすれば、節税効果は半減してしまうことになってしまうからです。
そのためには「物件の目利き」が大事で、本書では実例を持って紹介されています。
■不動産が「ハイリスク・ハイリターン」の時代は終わった
タワーマンション購入は相続税の節税にとって、魅力的な方法の一つであるかもしれません。しかし、不動産というとハイリスク・ハイリターンだと考えてしまう人も多いはずです。
沖さんは、それは「今は昔」の話だといいます。
現在、不動産の最大の買い手は不動産ファンドです。不動産ファンドは、一定の利回りの範囲で物件を購入し、その利回りの中から配当しています。そのため、現在では、投資商品の中で不動産(特に住宅)はミドルリスク・ミドルリターンと位置付けられているといいます。(株はハイリスク・ハイリターン、国債はローリスク・ローリターンです)
ここに「タワーマンションは値下がりしにくい」という特性を生かし、ミドルリスクをローリスクにして、さらに節税効果という確実なリターンを増やすことでミドルリターンをハイリターンに変えることができるのが、タワーマンション節税の特徴なのです。
資産2億円以上の方は対策の効果も大きいようです。相続税がいくらになるかは、特設サイト(http://tower-tax.com/)で概算の税額試算を依頼することができ、節税の提案についても回答してもらえます。
本書は、この記事では割愛してしまった相続税増税のポイントから、物件選びの鉄則・ノウハウ、タワーマンション選びの実例まで、基本的な部分を網羅しています。資産家のみならず、税理士・FP・銀行員・保険外交員の方などはお客さんに言われる前に抑えておいた方がよさそうです。節税とはいえ、不動産は大きな買い物ですのでやはり失敗はしたくないものです。だからこそ、ポイントは知っておくべきではないでしょうか。
(新刊JP編集部)
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