お金の悩みはなかなか尽きません。景気はよくなっているといわれても実感するのは難しく、さらに来年には消費税の増税も…。
そんな中で、コツコツと貯金をしていく。ほとんどの人はこのような方法でお金を増やしているはずです。
では、一体どうすればお金を増やすことができるのでしょうか?
それはお金に堅実なイメージのある銀行員の話を聞くのが一番かもしれません。今回は『銀行員だけが知っているお金を増やすしくみ』(集英社/刊)の著者で、元メガバンクの行員で、現在はマネー戦略プロデューサーとして活躍している長岐隆弘さんにインタビューを行いました。今回は後編です!
(新刊JP編集部)
■ P/LとB/Sで個人資産を管理する
― これから貯金を始めたいと考えている人は、まず何をすべきでしょうか?
「そもそも、どうして貯金をするのかという目的をはっきりさせたほうがいいでしょう。漠然と将来が不安だからお金を増やしたい、お金を貯めたいといって、どこで教わったか分からないような資産運用に手を出す…そういう人たちを見ると、お金についての教育がまだまだ足りないなと思いますね。
お金に対しての考え方、なぜ貯金をするのか、そういったマインドをしっかりと固めることが大事です」
― お金が貯まらない人たちの共通点を教えていただけますか?
「大きなポイントとしては、お金も数字なので、数字で物事を判断できない人は貯まりにくいと思います。知り合いから聞いて良さそうと思ったとか、言葉やイメージだけで判断してしまうのはNGです。いくら耳あたりの良い情報でも、数字で裏を取るのは必須です。また、現状のまま変わろうとしない人もなかなか貯まらないでしょうね」
― 銀行員の中には不動産にはまる人も多いという話は面白かったです。確かに転勤も多いですしね。
「そもそも銀行員ができる資産運用って、かなり限られているんですよ。だから大家をしている方は多かったし、あとはおっしゃる通り転勤が多いので、売ってしまうよりも貸した方がいいという考えになるんですね。不動産は家賃がいきなり乱高下したりしないので、リスクを好まない銀行員でもできるのだと思いますね」
― 銀行員はやはりリスクを好まないのですね。
「好まないですね。だからといって行動しないわけではありません。リスクに対してすごく敏感なので、いろんなリスクヘッジをとります。その上で大丈夫と分かれば乗り出す。やはり堅実なんです。豪遊する人もあまり見られませんし」
― 第3章『「お金を引き寄せる」10のスキル』のところでは、「決算書が読める」などの経営的な知識を求めていますが、やはりそういった知識は必要なのでしょうか。
「銀行員はお金の知識を広く浅く持っていますが、そうなると全体を見る力が身につくんですね。それは数値化と並び、銀行員の優れている点だと思います。決算書を読めば、数字からその会社の全体像を把握できるわけで、その能力を個人の財産にも適用しているということです。なかなか個人資産でP/L(損益計算書)とB/S(貸借対照表)をつくるという発想は生まれないと思いますが、彼らは意外とやっているんですよね」
― なるほど。そのことも他の業界から転職された長岐さんならではの気づきですよね。
「そうでしょうね。みんな当たり前だと思っている節がありましたから」
― 銀行に勤めていたなかで「これは他の業界でも使えそうだ」と思うものがあれば教えてください。
「敵を作らないというのは、本音を言わないというデメリットがあるものの、チームワークを重んじるということなので、組織一丸となれるメリットがありますね。今の個人主義的な風潮の中でも良い作用をもたらしているように思えました」
― これから資産運用を始める人に対してアドバイスをください。
「ぜひ、この本を読んでいただきたいというのもあるのですが(笑)周囲に成功をしている人を見つけ出して、話を聞くことがいいと思いますね。まずは成功のイメージを具体的にしてから、数字で裏を取るということですね。今ならばFacebookやブログなどのソーシャルメディアを使って自分と同じ価値観を持っている人にアクセスできるようになりましたから、そういう人を探してコンタクトをとるのもいいでしょう」
― では、この『お金を増やすしくみ』をどのような方に読んでほしいですか?
「この本は誰も読める内容になっていて、難しさを感じないと思います。なので、若い方から年配の方まで幅広く読んでほしいですね。ただ、特にあげるとすると、20代の若い人でしょうか。これからの人生長いですし、将来の人生設計に対して、いろいろ考える部分もあると思います。この本が、お金の不安を少しでも拭う助けになれば幸いですね」
― 最後に、このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。
「この本は私の銀行員の経験に基づいた、誰でもお金も増やすことができる方法を書いています。今後、お金を増やすこと、すなわち「資産運用」はわれわれ日本人にとって必要不可欠なものになると思います。本書が、お金との向き合い方やお金の教養を身につけるきっかけになればうれしいです」
(了)
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