パソコンを使った仕事が増えるなかで、増えるのは目の疲労。しかし、なかなかケアする時間もない…という人は多いはず。
しかし、ただ目が疲れているだけだから少し休めば大丈夫、と無理するのは禁物。『目は1分でよくなる!』(自由国民社/刊)の著者で、今野式近視改善エクササイズの発案者である今野清志さんは「若い人に目の病気を発症する人が多くなっている」と警鐘を鳴らします。
今回は今野さんにインタビューを行い、お話をうかがってきました。今回はその前編をお送りします。
(新刊JP編集部)
■若い世代でも目の病気が増えている
―まず、この『目は1分でよくなる!』を執筆した経緯からおうかがいしたいと思います。
今野「よく私のところに50代で緑内障になったり、40代で両目の視力を失ってしまったりした患者さんが来ます。そうした患者さんの多くは、有名な先生に診てもらったり、有名な大学病院に通っていたという方が多く安心しています。しかし、今の治療法のほとんどは点眼薬をしながらの経過観察だから、時間が経つとどんどん悪化していき、視野が欠けてきます。え、どうして、それで慌てて、他の医院を探すのです。
でも、患者さんは医者の言うことを信じていて、治してくれると思っているでしょう。頼れる人が医者だけだから。でも、やっぱり限界はあるのです。治せるところや予防できる法も知るべきです」
―目の病気というと、比較的年齢を重ねてからの発症が多いというイメージがありますが、40代の働き盛りでもなるケースがあるんですね。
今野「それどころか、今は20代で発症する人もいるし、30代は“当たり前”のレベルにきているように思います。
もともと、目は肝経と関わりが深いし、目のそれぞれのパーツも上瞼は胃、下瞼は脾臓など各部分がいろいろな臓器と関わっています。毛様体筋(ピントを合わせる筋肉)は自律神経を支配している胃腸が握っているわけです。つまり、目の不調は体全体に通じていて、どちらかを治せば良いという訳ではなくて、体全体を診ないといけないわけです。
でも、まったくそうした知識が広まっていない状態なので、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っていたところに、自由国民社さんからお話をいただいたということなんです」
―若い人の目の病気が多くなっているのはどうしてですか?
今野「これは生活習慣と利便性です。体にとって便利は不都合なのです。便利すぎて、体を動かさなくなっているでしょう。人間は、電車で例えると、鈍行で普通車なのに、社会は全て新幹線です。そのスピードに体がついていけないのです。スイッチ一つで、暖房や冷房・IТ・スマートホーン・ゲーム器など、食物も硬さから柔らかいもの、インスタント食品、顎を使わない、唾液が出ない、運動をするということは、血行を良くして、臓器を使うということ。逆に家に籠って何もしていないと、人間が本来持っている動物としての機能がどんどん低下していきます。だから視力にも悪影響が出てくるのです」
―本書で目が酸素不足に陥っていると書かれていますけど、血行が良くなければ酸素も目まで行き渡らないですよね。その酸素不足を放置していると、どうなってしまうのですか?
今野「西洋医学、東洋医学問わず、全ての病気の根源は酸素欠乏症にあるということは分かっています。ドイツの医学博士オット・ワールドやワール・ブルクがそれでノーベル医学賞をもらっているわけだから。つまり、目の不調も、生活習慣病も、究極言えば根源はほとんど同じなんです。」
―では、自分の目が疲れていると認識するためのポイントを教えて下さい。
今野「目を閉じて、瞼の上から押してみると良いです。そうすると、眼筋や水晶体が硬くなっているのが分かります。健康的な目、若い目は柔らかいから弾力性がありますけど、完全に硬くなっていると痛みも感じるようになります。」
―なるほど。
今野「そういう場合、すぐにできる疲れを取る方法の一つが、瞑想です。目をつむって、じっとハワイの美しい景色なんかを想像してみる。すると、脳が目の筋肉を弛緩させます。つまり、眼筋を緩ませると考えるのではなく、まずは脳を緩ませてあげないといけない。結局脳で見るわけだから、眼の筋肉が緊張してしまっていると、脳がイライラしてきます」
―それは本書の「7つの視力トレーニング」のところの「瞑想法」ですね。これは本当に効果があるのだろうかと思ったのですが、他のトレーニングとの組み合わせで相乗効果が生まれるのでしょうか。
今野「そうですね。だから眼の周りをタッピングして眼筋をほぐしてあげるのも大事だし、呼吸を整えるのも大事です。特にタッピングは、血行が良くなります。さっき言ったみたいに、目の周辺や目の各部位は、それぞれの臓器や器官と関係しているので、しっかりとタッピングすることで体全体に良い作用が伝わります。これは中医学の考え方に基づいています、是非やってみてほしいです」
(次回へ続く)
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