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商品開発のキモ「顧客ニーズ」をつかむ3のポイント

 ビジネスについての考え方はさまざまとはいえ「薄利多売ではなく、効率よく利益を出す仕組みを作りたい」というところは多くの企業に共通しているはず。
 だからこそ、企業はこぞって利益率が高い商品を開発しようとするわけですが、もちろんこれは簡単なことではなく、毎年数えきれないほどの新製品・新サービスが現れては、人知れず消えていきます。
 ただ、だからといって何も方法がないわけではありません。高収益をあげる商品を作るためのポイントやプロセスというのは確かに存在します。
 それを明らかにしているのが新商品開発コンサルタントとして活動している高杉康成さんの著書『[実践] 超高収益商品開発ガイド 粗利80%実現7つのステップ』(日本経済新聞出版社/刊)です。
 この本で高杉さんは、高収益商品の開発から販売までのポイントを解説していますが、たとえば商品開発の一番の肝だと言える「顧客ニーズ」をつかむにはこんなことが必要になるようです。

■「顧客ニーズ」と「わがまま」の違い
 商品やサービスの企画・開発で「顧客の要望」はかなり重視されます。これを踏まえたうえでどんな商品を作れば売れるのかを考えるというやり方自体はまちがっていません。
 ただし、「顧客の要望」をそのまま「顧客ニーズ」だと思い込むのは早計です。その要望が特定の誰かの要望なのか、ある程度まとまった数の顧客の要望なのかを考えずに商品開発した結果、コケるというのは非常によくある失敗パターンなのです。
 高杉さんは、一社や一人だけの顧客から出てきた要望は、まずは「わがまま」として考えるべきだといいます。高い収益をあげるという観点で考えると、特定の誰かの要望を元にして商品を作っても、その人だけが満足するという結果になりかねず、リスクが高まります。ある程度まとまった数の要望が同じ方向を指してはじめて「顧客ニーズ」と捉えるべきなのです。

■「顧客ニーズ」は雑多な形であらわれる
 また、「顧客ニーズ」は「こんな商品を作りなさい」というように親切な形で出てくることはありません。
 たとえばスティック型消しゴムがまだ世の中にないと仮定すると、そのニーズは「細長いもの」「持ち運びできるもの」「手帳に挟めるもの」「芯が変えられるもの」といったように雑多な形で表れます。こういった様々な断片から一つの「解」を見つけ出すことこそが、「顧客ニーズ」を発見するということです。
 こういったことから、ニーズの断片を社内のPCサーバーの情報共有ボックスなどに複数のフォルダに分けて保存すると、それらは別々のデータとしてしか認識されず、それぞれ組み合わせたり、かけ合わせたりといったアイデアが生まれにくくなってしまうので注意が必要です。

■「営業情報」と「開発情報」は区別する
 「顧客ニーズ」に関わる情報には、その性質によって2つに大別できます。正しいニーズを掴むためには、これらは分けて考えないといけません。
 一つは「営業情報」といって、競合企業の動向や、業界のトレンドなどの営業的な情報。もう一つは「開発情報」という「なぜその商品が必要なのか」「既存の商品はどんなもので、なぜだめなのか」といった、顧客の行動特性や実態に関する情報です。
 具体的には、顧客からメーカーに「直径3mmのドリルが欲しいので作ってほしい」という要望があった時、「何本必要なのか」「いつ必要なのか」「競合企業はいくらくらいの見積もりを出しているのか」というのは営業情報で、「なぜ必要なのか」「どんなことに使うのか」というのが開発情報です。
 後者は掘り下げるとより普遍的なニーズに行きつく可能性があるため、高収益をもたらす商品を作るために重視すべきなのですが、前者と混ざってしまうとまちがったニーズを導き出してしまうことに繋がるため、意図的に分けて管理することが必要になります。

 どの企業も四苦八苦している商品開発ですが、本書にはその手順とポイントが体系的に整理され、開発から販売までの工程ですべきことを示してくれます。
 資金に余裕のない企業が増えている今、効率的に大きな利益を得る仕掛けとして、本書のノウハウは参考になるところが大きいはずです。
(新刊JP編集部)

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