2007年 4位
2008年 3位
2009年 3位
2010年 4位
2011年 9位
2012年 7位
この数字が何の推移か分かるだろうか。
これは、国際ビジネス誌『モノクル』が毎年行っている「世界で住みやすい都市ランキング」の東京のランキング推移だ。2010年まではおおむねベスト5内を堅持し、2011年は東日本大震災の影響なのだろうか、ランクを落としたものの、再び上昇の気配をみせている。
2012年のデータを見ると、トップ10内で人口1000万人を超える都市は東京だけ。治安も良く、コンビニエンスストアも多くて便利。そして何より、「鉄道」という交通ネットワークが機能的に張り巡らされている利便性の高さは、この都市の特徴を語る上で外せない。
特に、世界で活躍するビジネスマンたちは、東京の鉄道交通網の利便性に高い評価を下しているという。どんなに情報通信が発達しても、ビジネスにおいて生身の人間同士が会って話すのは重要なこと。その上で、23区内でなら1時間もあればだいたいのところに行けてしまう東京の鉄道網はとても使いやすいのだ。
そして、それらの特徴は名古屋や大阪といった大都市にも共通するものがある。
経済アナリストの増田悦佐氏は新刊『高度成長は世界都市東京から 反・日本列島改造論』(ベストセラーズ/刊)で、日本経済の最大の特徴である“エネルギー効率”の高さに触れ、この東京・名古屋・大阪という三大都市圏には日本経済を飛躍的に成長させる底力があることを説いている。
エネルギー効率とは、国民経済の規模を支えるのに必要なエネルギー消費量の効率の良さのことで、実は日本はこの効率が非常に良いのだという。日本の国内総生産(GDP)は世界の総生産の12.1%を占めているが、そこにかかったエネルギー量は世界の4.2%。なんと、世界平均からすると、同一額のGDPを3分の1のエネルギー消費量で生産できる強みがあるのだ。
この効率の良さを支えているのが、日本が誇る東京や大阪、名古屋といった大都市圏の交通ネットワークである。
例えば、毎日ほぼ確実に100万人前後の人が通り過ぎていく場所は世界中にたった4つしかないという。新宿、池袋、渋谷、そして大阪駅及び梅田駅の周辺地区だ。これだけ人の集まるところは世界中を探してもないのである。
さらに、これら東京、大阪に、名古屋を含めた日本の三大都市は、鉄道網をはじめとしたビジネスを活性化するために必要な要素がほとんど揃っている。しかも、この三大都市はわずか5~600km圏内でつながっている。東京~名古屋~大阪間は新幹線を使えば1時間半と1時間の距離だし、東京~大阪間でも2時間半だ。さらにリニアが走れば東京~名古屋間は40分、大阪間は60分になる。この3つの都市の連携が上手く進めば、世界に類のない活気溢れる日本が戻ってくるのは明らかではないだろうか。
しかし、増田氏はその発展を妨げるものがあると指摘する。それは、都市開発への政府の介入・おせっかいだ。
増田氏は、経済が活性化するためには、人が自由に集まり、モノやサービスを値段に応じて売ったり買ったりするという市場の仕組みに任せてしまうことが大事だと考える。その上で、「官僚が頭で考えたとおりに人間を配置すれば、そこに街が育つという発想自体が、とんでもない思い上がりなのだ」と、田中角栄の列島改造論以来2000年代初頭までの日本の政策を痛烈に批判するのだ。
都市経済を活性化することが、これからの日本の経済を活性化するための鍵であることは確かだろう。そのときに便利で、効率が良く、住みやすく、そしてビジネスがしやすいという強みを持つ、東京・名古屋・大阪の更なる成長が求められる。
いっときアベノミクスがもてはやされたが、ジャブジャブの過剰融資という金融政策と、公共土木事業の拡大という財政政策の古めかしい二本柱の上に、ちょこっと国家戦略特区という都市政策の帽子をかぶせただけのしろものだ。しかし、三大都市圏という世界に誇る強みを生かせるのは、民間の創意工夫だけだ。便利なところ、より良い仕事口があるところに住もうと集まってくる人々がなるべく自由に動き回れるようにするのが、政府の役割だ。あとは放っておいていい。それが経済復興を成し遂げるための起爆剤になると増田氏は強調する。
(新刊JP編集部)
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