アメリカの投資家・ジム・ロジャーズは「ヘッジファンドの先駆者」と呼ばれる。
彼がジョージ・ソロスと共に立ち上げたクォンタム・ファンドが実現した、設立10年で4200%という驚異的なリターンを見れば、その才覚がわかるというものだろう。
投資家として類を見ないほどの成果を出した彼の考え方、生き方はどのようなものなのか。
『冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート 市場の英知で時代を読み解く』(ジム・ロジャーズ/著、神田由布子/訳、ソフトバンク クリエイティブ/刊)を読むと、その一端が見えてくる。
彼がウォール街に飛びこむきっかけになったのは、大学生時代に経験した、投資会社・ドミニク&ドミニク社でのアルバイトだった。ここでの経験は世界の見方ががらりと変わるほど刺激的で、"自分が活躍できる場所はここだ"という想いを張り巡らせた。
オックスフォードを卒業し、兵役義務を果たしたジムはウォール街に飛び込み、順調にキャリアを積み重ねていく。そんな最中、採用された一流投資銀行で副社長をしていたのがジョージ・ソロスだった。2人は意気投合し、ヘッジファンドを運用して国外で大きな利益を上げるも、新たな規制のためにやむなく会社を辞める。そして、小さなオフィスで海外投資家向けのファンドを立ち上げる。それが、クォンタム・ファンドである。
ジムは、本書の中で「世界経済は創造的な破壊を繰り返すしくみになっている」という、自身の投資哲学の根幹となる考え方を明かしている。つまり、ある国や会社が興ると、同時に別の国や会社が衰退していく。それは市場でも同じである。
たとえば、都市の繁華街が廃れて、郊外にショッピングモールがオープンするのは需要の供給の法則に沿った現象であり、これを無視して繁華街を復興させるべく資金を注ぎ込むのは愚策であり、問題を深刻化させるだけなのだ。
すべては重要と供給の法則に従って移り変わっていくもの。
投資家だけでなく冒険家としての顔を持ち、5年間で100カ国以上を回って変わりゆく世界をその目で見てきたジムは、この法則がいかに全世界において強固に作用し、抗いがたいものかを誰よりも理解しているのである。
ジムは今注目すべき新しい発展市場として、アメリカの農業やシェールガス・シェールオイルを挙げその可能性と展望を本書の中で明らかにしている。
投資家として、冒険家として"ストリート・スマート"を磨き続けてきたジムの言葉からは、投資に関わる人だけでなく、全てのビジネスパーソンが学ぶべき示唆がたくさん見つかるはずだ。
(新刊JP編集部)
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