終身雇用制度の崩壊が叫ばれる昨今、勤めている会社を辞めて独立することは、実行するかしないかは別にして選択肢の一つだといえます。
しかし、現実として起業が成功を収めることは稀であり、ほとんどの起業が失敗に終わります。このことは、起業を考えている人、起業したもののうまくいかずに困っている人にとって切実な課題と言ってよいでしょう。
成功する起業とそうでない起業を分けるものは一体何なのか?
『起業の神様マイケル E.ガーバーに学ぶ 成功への10原則』(マイケル E.ガーバー/著、山口大輝、横尾樹子/訳、ソフトバンク クリエイティブ/刊)は、起業を成功へ導くために必須の原則を、世界的に有名なビジネスコンサルタントであるマイケル E.ガーバー氏が、自身の経験から明かした一冊。
その中に「失敗する起業」について語られた箇所がありましたので、紹介します。
■好きなことをビジネスにしてしまう
勤めていた会社を辞めて起業する場合は特に、「自分の好きなこと」で会社を興そうとしがちです。しかし、マイケル E.ガーバー氏によると、これこそがほとんどのビジネスが失敗する理由なのだとか。
たとえ今好きなことでも、ビジネスとして所有し、営んでいくとなると好きでい続けることが難しくなります。そして、それまで好きだったことが好きでなくなってしまった時、事業自体が行き詰まってしまうのです。
そうではなく、ビジネスを興すならばその事業が顧客や従業員に愛されるものかどうか、注目に値し、美しく、有能なものかどうかという「ビジネスの存在意義」について掘り下げて考えてから起業することで、成功する可能性が大幅に向上します。
もし、好きなことをすべく起業したもののうまくいっていないという人は、この視点から自身のビジネスを考え直してみるべきかもしれません。
■事業を大きくしようとしていない
最初は小規模で始めて、成長させていくというのが起業のセオリー。数人の従業員を雇う場合もあれば、自分一人で始めることもあるでしょう。
もし、事業がうまく行けば自分の生計を立て、数人分の給料を払うことができるようになるかもしれません。ただし、この状態で安定してしまうと、事業の継続だけが目的になってしまうことが多いものです。
そうなると、いつしか仕事は決まったルーティンの繰り返しとなり、自分自身の成長も止まってしまいます。新しいアイデアも出ませんし、そもそも生計を立てることだけで満足しているのであれば、会社員の時と何も変わっていません。
また、事業が大きくなった後のことを具体的にイメージせずに起業すると、いざ本当に事業が成長し、人が増えた時にどのように経営の舵を取っていくかわからなくなってしまいます。
こういった事態にならないために、ガーバー氏は自らの事業が今の1万倍の規模になった時のことを思い描き、その実現のために今何をすべきかを考え続けるべきだとしています。その問いかけから新しいアイデアが生まれ、今やらなければいけない仕事について見直す目を持つことができるのです。
本書には、世の中にとって意味のある事業を創り出し、成功させるために、守り、従うべき10の原則が、物語仕立てのモデルケースを交えて解説されています。
起業したものの、"停滞"を感じている人にとっても大いに刺激となる一冊です。また、これから起業を目指す人や、いまのところ積極的には考えていなくても、その必要性、可能性を感じている人にとっても、手段としてのビジネスの本当の意味について考えを深めるきっかけとなるでしょう。
(新刊JP編集部)
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