「アンチエイジング」という言葉の浸透が示すように、いつまでも若々しくいたいという願望は誰もが持っているはず。
ただ、知らずに行なっていたり、良かれと思ってやっている習慣のなかに、実はかえって老化を促進してしまうものが含まれていることはあまり知られていません。
その最たるものが「食べ物」であり「食習慣」です。
『老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ―老化の原因は悪玉「AGE(エージーイー)」だった!』(山岸昌一/著、主婦の友社/刊)は、老化を促進する悪玉物質「AGE」に注目して、老けにくい食生活を指南してくれる一冊。本書によると、私たちがついやってしまいがちな食習慣の中には、老化を促してしまうものもあるようです。
「AGE」とは、タンパク質に糖が結びつき糖化したもの。タンパク質を硬化させたり、物質を褐色に変える反応を引き起こします。コラーゲンや弾性繊維などのタンパク質からできている皮膚は、AGE化すると硬くなってハリや弾力性が失われ、シワ、たるみの原因に。黄色や茶色化し「黄ぐすみ」という老化現象も起こります。年を取ると髪のコシがなくなり、傷みやすくなるのも、髪に含まれるケラチン(タンパク質)がAGE化しているため。さらに、タンパク質でつくられている血管がAGE化してしまうと、血管の内側が厚くなる動脈硬化になり、それが脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのです。
しかし、日頃の生活習慣、特に食習慣を見直すだけで、AGEを体内に増やさないことも可能なのです。
■実は老化を促す「果汁100ジュース」
朝は必ず果汁100%ジュースを飲む、というのは一見健康的な食習慣に思えます。
しかし、AGEの観点からすると、これは必ずしもいい習慣とは言えません。
確かに、果汁100%のジュースからは果物に由来する栄養素が多く摂取できます。ただ、体内に入ると猛烈なスピードでAGEを作る「果糖」も大量に含まれているため、飲み過ぎには注意が必要。
液体ということで一度にかなりの量を飲んでしまいがちなジュースですが、老化を防ぐためにも適量を心がけましょう。
また、果糖はジュースの原料であるフルーツにも多く含まれるため、摂りすぎるとやはり弊害も出てきます。リンゴなら一日一個。ハバナなら一本、みかんなら2~3個が適量。それも間食で食べるのではなく、食後のデザートにすることを、著者の山岸さんは勧めています。
■アンチエイジングの大敵「炭水化物」
AGEを作るのは「果糖」だけではありません。血糖値が高い状態もAGEができやすく、注意が必要です。
血糖値を上げる食べ物として、まず挙がるのが「炭水化物」。特に「麺だけ」「パンだけ」という炭水化物のみの食事は、摂取カロリー的には大きくなくても血糖値を急激に上げるので避けた方が無難です。
とはいえ、炭水化物は食事には欠かせません。まったく摂らないというのは無理な話なので、食べる順番を工夫して、糖質の吸収を緩やかにする必要があります。
そのためには、まず野菜や海藻類、きのこ類を食べ、それから肉や魚、大豆などタンパク質を多く含むおかずを食べます。そして最後にごはんやパスタ、うどんなどの炭水化物を食べるようにすると、糖質の吸収を抑えつつ、なおかつある程度お腹が満たされた状態で炭水化物の順番になるため、食べる量を抑えることができます。
■AGEを体内に取り込まないためには?
ここまではAGEが体内で作られないようにする方法を取り上げてきましたが、この物質は体外から取り込んでしまう可能性もあります。
では、AGEを多く含む食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。
AGEは、食べ物の「焼き目」の部分に多く含まれます。たとえば、焼き肉の焼き色の部分や、キツネ色に焼けたホットケーキの表面など、「焼き目・焦げ目」には注意が必要。
だからこそ、本書のタイトルにあるように『老けない人は焼き餃子より水餃子を選ぶ』のです。
本書には、老化を促すAGEという物質について、その正体や摂取・生成を抑える方法が、専門家の視点から詳しく解説されています。
いつまでも若々しくいるために、AGEに注目して自分の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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