誰だってできることなら税金など払いたくないもの。
それは個人が払う所得税だけでなく、会社が払う法人税であっても同じです。だからこそ会社はあの手この手で決算書に記載する利益を減らして「節税」を図るわけですが、この行為に警鐘を鳴らすのが、公認会計士・税理士の村形聡さんです。
村形さんは、著書『会社にお金が残る 社長のための「非常識な会計」のルール』(日本実業出版社/刊)で、「本当に儲けたかったら、税金から逃げるな」と言い、節税がもたらす会社経営への悪影響を語っています。
■節税が無駄づかいを助長する?
端的にいうと、法人税は会社の利益に税率を掛けて額を算出します。つまり、利益が増えれば増えただけ、支払う法人税額は増え、利益が減れば法人税額も減るという仕組みなので、「節税」する際の基本線は「利益を減らすこと」になります。
利益というのは「売上-経費」、ということで利益を減らしたかったら、経費として計上する金額を増やさなければなりません。
たとえば、利益が500万円あった時、法人税率は約40%となり、法人税額は約200万円となります。しかし、税金を払いたくないばかりに利益をゼロにしようとするならば、理屈としては500万円の経費を使えばいいことになります。もちろん、この500万円の中身が経営に有益なものであれば、何の問題も無いわけですが、節税に執念を燃やすと、多くの場合、これが無駄づかいになってしまうのだそうです。いらないものにお金を使うのであれば、おとなしく200万円の法人税を納め、手許に300万円を残した方が会社のためになるのです。
■「節税大好き、でも借金まみれ」な会社ができあがるまで
業績が好調な時に、事業を拡大したり、物を仕入れたりするのには当然お金がかかります。
そのお金をどこで調達するかというと「負債」(借金)か「純資産」(投資家からの出資や内部留保)ということになります。
もちろん、「負債」(借金)による資金調達は避けたいところですし、普通の中小企業に投資家が興味を持つことはほとんど期待できません。となると、内部留保から資金を調達しなければなりません。
しかし、前述の通り、節税の基本は「利益を減らすこと」。
内部留保が利益の一部である以上、節税に励んでいる限りは十分な内部留保はできるはずがないのです。
投資家からの出資が期待できず、内部留保もないとなると、資金調達の道は「負債」(借金)ということになります。こうして「節税大好き、でも借金まみれ」な会社ができあがります。
今回は節税について取り上げましたが、本書には主に中小企業の経営者に向けて、事業を成功させるための、現場で本当に使える「会計」の知識がつづられています。
経理・会計に詳しくない人でもわかるように書かれているため、これから勉強を始めようという人が読んでも役立つはずです。
(新刊JP編集部)
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