グローバル化が進み、国境を越えて活躍できる人材が増えつつある現代において、日本は各国に後塵を拝しているといわれる。世界のビジネスパーソンが"フツーにできていること"を、日本のエリートビジネスパーソンたちの多くはできていないというのだ。
『そろそろ、世界のフツーをはじめませんか』(今北純一、船川淳志/著、日本経済新聞社/刊)では、海外のビジネスシーンで活躍する二人の著者が、「世界のフツーができない日本人」をテーマに、世界で活躍できる人材について語り合っている。
では、日本のエリートが苦手としている「世界のフツー」とはどんなことなのだろうか。著者たちは、6つの「世界のフツー」を取り上げている。
1、自分の意見や見解を、複数の、しかも専門の異なる初対面の相手にでも、気おくれすることなく分かりやすく伝えることができる。
→海外では、「身内」以外の人間に対して、自分の意見の発信力や説明責任能力が問われる。「言わなくても伝わる」ことはほとんどない。自ら発信することが大事なのだ。
2、相手の話を聞いているときに、不明な点や理解できない部分、興味を持った点を率直に質問することができる。
→聞きたいことがあるのに周囲の顔色をうかがってしまうのは、日本人の典型的な悪癖。海外では周囲の顔色を気にせず、聞くべきことを聞ける質問力、胆力、そして知的好奇心が求められる。
3、自分の見解について、異なる立場の他社からの質問や提案を受けた時に、建設的な対話を展開できる。
→日本人は「恥をかく」こと、「正解」から外れることに苦手意識や恐怖心を持っている。自分の見解を発信しても、そこに突っ込みが入ることを恐れているのだ。逃げずに答え、建設的な対話ができるようにならなければいけない。
4、自分の国の歴史や文化、宗教、政治動向について相手から聞かれた場合、バランス感覚を持ちつつ自分の定見を相手にわかりやすく説明できる。
→日本では政治や宗教の話はタブーとされていることが多い。しかし、さまざまな国から人間が集まっている環境では、それがアイデンティティとなる。それをしっかりと自分から発信できることは重要なことだ。
5、日本人が自分一人という状況でも、多国籍のチームや組織の中で貢献できる。
→自分だけという完全なアウェー状態でも、日本人としての誇りや矜持をしっかり持てるだろうか。国籍や宗教、文化的価値観など多様なバックグラウンドを持つ人たちと、お互いの価値観を認めながら、共同作業していく中でそれは試される。
6、ユーモアの感覚、遊び心がある
→ちょっとした、気の利いたジョークは場を和ませる最大の方法。しかし、日本人の仏頂面は英語でも"Budda-like stone face"といわれることがあるほど。ユーモアの感覚を持ち合わせることは世界で活躍する条件である。
この「6つのフツー」は、日本にいる限りでは克服して身に付けなければいけないものではない。だから、どうしても身につけないまま、時間が過ぎ去っていく。
しかし、戦う舞台が海外であるならば必要とされる。「郷に入りては郷に従え」という言葉の通り、これらの「フツー」を遂行できないと、同じ土俵にすら立たせてもらえなくなる可能性もある。
ただでさえ、グローバル化が進んでいることを実感できる現代。少し先の未来ですら、どうなっているかは分からない。だからこそ、本書の内容は今後、生き残っていくための重要なヒントを与えてくれるはずだ。
(新刊JP編集部)
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