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太陽光発電 企業参入のメリットとは?

 一昨年発生した東日本大震災以後、原子力発電の危険性が叫ばれ、それに代わって再生可能エネルギーがにわかに注目を集めました。
 水力や風力など、さまざまな自然エネルギーの名前が挙げられる中で、代表的な存在とされているのが「太陽光発電」です。
 制度的な面も整い始め、2012年7月に、電力会社は太陽光発電による電力の全量を固定価格で買い取ることが義務付けられ、同時に向こう20年間の太陽光発電による売電価格が1kWhあたり42円に固定されました。
 しかし、この額は普及するに従って段階的に下がっていきます。つまり、早めに太陽光発電を導入、生産し始めれば、42円/1kWhという売電価格が20年間保証されますが、逆に何年も経過してから導入するとなると売電価格は今よりも安くなってしまうということです。

 こうした背景から、企業が太陽光発電ビジネスに参入するケースも増えてきています。
 では、企業が太陽光発電を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。企業向けに太陽光発電導入のイロハを教える『太陽がくれる利益』(大都英俊/著、ダイヤモンド社/刊)から2つのケースをご紹介します。

例1)自社の空き地を利用、地域密着でPR効果も
 活用目的の決まっていない空き地は、いわば固定資産税ばかりがかかる「金食い虫」ともいえます。それを太陽光発電ビジネスに利用し始めた企業があります。
 とある小さな製造会社F社は、工場の製造ラインを一部海外に移転させ、その空き地を使って太陽光発電ビジネスを始めます。大きさは140平方メートルでテニスコート半面分。設置容量は10kWhで、空き地への設置のため地面に直接設置する「野立て」という方式が取られました。
 周囲はのどかな田園が広がり、日当たりが良く、開始直後から好調な発電量を維持。当初予定していた以上の発電量をキープしているそうです。そして、何よりも、「地元に開かれた工場」を掲げ、毎年地元の小学生や婦人会などの工場見学を受け入れていたF社にとって、導入した「クリーン発電」はさらなる大きなPR効果を呼んだといいます。

例2)食品加工業では非常用電源の確保も
 食品加工業において重要なのが加工した食品の保存です。災害や事故などで急に停電が発生して復旧の見込みが立たない場合、非常用電源を用意していなければ、冷蔵庫に保存してある食品が全滅してしまう可能性もあります。
 太陽光発電システムの導入は、そうした非常用電源の確保にも役立ちます。ただし、全量買取の場合、自社の屋根で発電をしてもすべて電力会社に販売されてしまうので注意が必要です。著者曰く、停電時の電力供給を可能とするバックアップ電源システムをあらかじめ導入しておけば大丈夫だということです。

 太陽光発電と聞くと、広い土地もしくはスペースが必要だというイメージがありますが、最初の例の会社のように、テニスコート半分ほどのスペースでも設置が可能ですし、日当たりなどの条件が良ければ早い時期にコストを回収できる目算も立てられるようです。

 ただ、初期投資費用もそれなりのものであり、企業がすぐに太陽光発電に投資できるほど体力があるのか、など、参入への壁はまだまだ高いでしょう。それでも、原発をなくし、再生可能エネルギー大国として日本が発展していくためには企業の積極的な参入が求められることは間違いありません。
 早めに参入することでそれなりのうまみもある太陽光発電。導入検討の材料として本書を開いてみるのもいいかもしれません。
(新刊JP編集部)

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