どんな優秀な人でも、失敗や挫折を経験することはあるはずだ。
失敗は誰もがすること。大事なことは、その失敗を今後どう生かすか。それで、その人の将来は変わってくる。
もし大きな失敗をしてしまった時、どう乗り越えるか。それは、その人の心の強さにもかかっているだろう。何が起きても乗り越えられる、折れない心はどのようにすれば、つくることができるのだろうか。
失敗や挫折の経験は、今後ビジネスの世界でたくましく生き抜いていくためのノウハウを学び取ることができ、今後の自分にとって貴重な財産になる。
ただし失敗や挫折の経験が、そのまま貴重な財産になるわけではない。それを貴重な財産に変換するには、ちょっとした考え方のコツが必要になってくる。そのコツをイソップ物語、ギリシャ神話、ブッタ、孔子など世界中の民話や偉人たちの言葉をもとにして紹介しているのが『それでもあなたはうまくいく 折れない心を育てる88の種』(植西聰/著、マガジンハウス/刊)だ。
人生、良い時もあれば悪い時もある。うまくいっている時こそ気をつけなければならない。
例えば、若手社員にもかかわらず、自分が仕掛けた仕事が次々に成功して、上司たちからはかわいがられ、同僚たちからももてはやされる。そんな状況の人ほど注意しなければならない。
江戸幕府を作り上げた徳川家康は「戦に行けば連戦連勝、いまだに負けた経験がない武将ほど、手痛い失敗をして自滅していくものだ(意訳)」という言葉を残している。
この家康の言葉は、やり手の若手社員にも通じるところだろう。
仕事で勝つことしか知らず、失敗した経験がない若手社員は、やがて自分の力量にうぬぼれるようになり、大きな過ちをおかしかねない。その意味では、若いうちに一度や二度失敗や挫折を経験しておくほうがいい。
失敗や挫折を経験することで、仕事を慎重に進め、よく考えてから決断、行動するようになれるからだ。
家康自身、若いころに連戦連勝で思い上がっていた時期があったようだ。しかし、武田信玄に攻め込まれた時に、相手の力を甘く見て結局は散々の負け戦を経験した。
以来、家康は「慎重にものを考え、相手の力を甘く見て軽率な行動をしない」ということをモットーにするようになったと言われている。
うまくいっているときでも、調子に乗らない。いい気にならない。
簡単なことだが、忘れてしまいがちなこと。童話や偉人たちの言葉から得るものは大きい。失敗や挫折から、折れない心を育めば、将来の大きな成功につながるはずだ。
(新刊JP編集部)
先人たちの言葉に学ぶ、折れない心を作るコツ