自分が何歳まで働くことができて、リタイアしてからはどれくらいお金が必要なのか。このような、将来への不安、特にお金に関しての不安は尽きることがありません。
年齢を重ねるにしたがって所得が増える時代ではありませんから、思うように貯金ができていない人ほど悩みは深いのではないかと思われます。
公認会計士であり、『女子大生会計士の事件簿』(英治出版/刊)などのベストセラー著書でも知られる山田真哉氏は『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』(小学館/刊)のなかでこの問題に触れ、会社員、自営業者それぞれのリタイア後に必要な貯金の額を明らかにしています。
■夫婦の一方が会社員の場合
今の日本人の平均寿命が男性79.4歳、女性85.9歳ということを考えると、「老後の不安」とは会社員が60~65歳で定年退職してから死ぬまでの約20年をどう過ごすか、ということに他なりません。
山田氏は、夫婦が「贅沢すぎないゆとりのある生活」を送るための額を月30万円として、それを20年分(月30万円×20年=7200万円)と、家のリフォーム代や老人ホームへの入居費用(=800万円)を加えて約8000万円が、夫婦の老後生活に必要な額としています。
8000万円と聞くと、定年までには到底貯められない額のように思えますが、そんなこともありません。
会社員であれば毎月年金を払っているはず。これからどうなるか不透明な年金ですが、現状の年金制度の見通しから試算すると、一年間でもらえる年金(国民年金+厚生年金)の受給額は300万円ほど。20年間受給し続けた場合は6000万円ほどになります。
だとすれば、8000万円のうち6000万円は定年後に受け取れるため、働いているうちに貯めるべき額は約2000万円となります。これならなんとかなる気がしませんか?
■自営業・フリーランスの場合
自営業の場合も会社員と同じく、夫婦の老後生活に必要なのは約8000万円ですが、年金は国民年金のみという点で会社員と異なります。
国民年金の満額は一人約80万円ほどなので、夫婦では約160万円。20年間で3200万円ほどです。そうなると、自営業やフリーランスの人はリタイアするまでに約4800万円ほど貯めなければならないことになります。会社員と比べると厳しい額ですが、定年がないという強みもあります。
仮に老後も仕事を続け、年収で140万円ほど稼ぐことができれば、老後20年で4800万円となり、会社員のケースと同様、預金額は2000万円ほどで済みます。
年金制度が今後どうなるか、定年まで切れ間なく働き続けることができるのかなど、不確定要素は多いものの、今回取り上げた試算は将来を考えるための目安として知っておいて損はありません。
本書には貯蓄だけでなく、老後のための資産運用についても解説されており、老後に不安を抱える人の強い味方になってくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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