2008年に『十三歳の郵便法師』で第13回角川スニーカー大賞奨励賞を受賞、デビュー作となった『R-15』(スニーカー文庫)は11巻まで刊行され、2011年7月にはアニメ化もされた気鋭のラノベ作家・伏見ひろゆきさん。
2012年12月1日に発売した『不本意だけどハーレムです。ただしネットに限る』(伏見ひろゆき/著、仁村有志/イラスト、スニーカー文庫)は、伏見さんにとってデビュー2作目の新シリーズ! 物語の展開も含めて、想像の斜め上を行く恋愛ギャグコメディだ。
今回は新シリーズスタートということで作者の伏見ひろゆきさんにロングインタビューを敢行。お話をうかがった。今回はその中編となる。
■「リア充」って一体どういう人たち!?
―本作では翔をはじめ、主人公格としては女性キャラクターが3人、アバターを含めると6人。さらには主人公のリアルでの友人である歩貴など、さまざまなキャラクターが登場しますが、どのようにキャラクターを作っていくのですか?
「まずはセリフを書いて、なんとなく合わないなと思ったら違うセリフを言わせてみたりしているうちに特徴的なセリフが出てきて、いけそうだなと思ったら、そこから作り込んでいく感じですね。リアルとネットでの性格のギャップという部分に関していうと、このヒロインにはどういう過去があって、そこからこういう表裏の性格が生まれた、というようなことを考えながら作っています」
―翔の「ピュアランド」でのアバターの一つに「メシア」という存在があります。これは、いわゆる管理者特権といいますか、参加しているアバターたちについて、その正体は分からないものの、いろいろなことを知ることができてしまう「神の立場」にいます。実際に伏見さんがそういった立場になったら、女性のどんなことを知りたいですか?
「一番知りたいのは…やっぱり女の子の純情さですかね」
―純情な心、ですか。
「みんな、実は恥ずかしくて表に出せていないんじゃないか、と。男でも真面目で純情で繊細な部分ってなかなか出しにくいところがありますし、それは女の子も男とは違った形で持っているんじゃないかなと思いますね」
―確かに翔たちの年齢の頃って、そういう気持ちを持っていたと思いますね。女の子の本心を聞いてみたいというか。
「そうですよね。女の子と接するのに慣れていないと、たとえば放課後の掃除で一緒に教室に残っているとき、『何これ、話しかけないといけないの?』みたいに思ってしまいますよね(笑)」
―そうなると挙動不審になってしまったり(笑)。どういう言葉をかけていいのか分からないんですよね。でも、翔がネットの中ではいきなりチャラい言葉を女の子に使っているのを読んで、これはなかなかすごいな、と。
「翔の場合はテンパリすぎちゃって、普段絶対に言わないように意識している言葉が逆に出ちゃうみたいな(笑)」
―本作には「リア充」という言葉が出てきますが、伏見さんは「リア充」という言葉をどう考えていますか?
「一昔前だと、『リア充』という言葉を知らない人こそがリア充だなと思っていたのですが、今は日常会話にも浸透してきてしまっているので、難しいですね。ただ、翔にとっては、リアルを楽しんでいる人は全員リア充なんですね」
―本作では、翔が渚に対して「リア充」と言っていますね。
「渚というヒロインは真面目で良い子なんだけど、翔は渚がリア充で、イコール『遊びまくっている、不潔だ』と思っていて、渚を目の敵にしているんですね。でも、渚は翔のことを怒りながらも大事に思っているという。
リア充がみんな、不純異性交遊をしているわけではなくて、そこは単純に美紅と翔が勝手に妄想しているだけで、渚は『それは誤解だ』と思っているのですが、ちゃんと伝えられなくて…というところが2巻で書かれます。2巻は渚にもしっかり喋らせる感じで今、頑張って書いています」
担当編集「2巻は3月1日に発売を予定していて、イラストレーターの仁村有志さんには、水泳部で頑張っている競泳水着を着た渚のイラストを描いてもらっているところです」
「いいですね、競泳水着(笑)」
(後編は明日12月28日配信!)
■スニーカー文庫内書籍ページ
http://www.sneakerbunko.jp/series/harem/index.php■「ラノコミどっとこむ」でもインタビュー配信中!
http://lnocomi.com/news/view/117/著者の伏見ひろゆきさん