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「不滅の名作ミステリへの招待」 中川右介著

   「不滅の名作」というタイトル。大仰である。そんなキャッチフレーズ、純文学でもなきゃ似合わん、とぶつぶつ言いながらページを開いて驚いた。本当に「不滅の名作」ぞろいなのである。
 例えばミステリー・ファンなら死んでも読まなければならない『Yの悲劇』。本書では家族構成から屋敷の部屋割りまで事細かに図解がなされ、エラリー・クイーンがどれほどヒントを縦横無尽にちりばめたかが一目瞭然となっている。「それなのに、俺は犯人が最後までわからなかった」。苦い記憶がよみがえるが不快ではない。
 また読みながら激怒した作品も載っている。アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』。こんなルール違反の小説、犯人がわかるわけないじゃないか。著者は、そんな読み手の煩悶(はんもん)もわかっておられるようだ。「問題作」と強調して解説している。
 再読の衝撃を極限まで駆り立てる本なのである。

書名:不滅の名作ミステリへの招待
著者:中川右介
発行:七つ森書館
定価:1575円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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