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「藁の楯」 木内一裕著

  漫画家から作家に転じた木内一裕氏のデビュー小説を、三池崇史監督が映画化したサスペンス・アクション。西日本縦断のスケールとスピード感を楽しめる。
 可愛い孫娘を惨殺された政財界の大物が、犯人の首に10億円の懸賞金をかけた。警視庁警護課SPの銘苅(大沢たかお)と白岩(松嶋奈々子)は、福岡で自首した容疑者(藤原竜也)を警視庁に護送する任務を命じられる。
 福岡を出発した5人の移送チームを、賞金稼ぎに豹変した一般市民や警官、機動隊員が次々と襲ってくる。護送車から新幹線に乗り換えた銘苅と白岩は、無事に東京までたどり着けるのか。
 緊迫感に満ちてスリリングな映画と同じように、原作も軽快なテンポで一気読みをした。仕事とはいえ、人間として最低の凶悪犯を命がけで護る主人公に共感。万事がお金の世の中だが、後半で重要な役割を果たす女性タクシー運転手のキャラに救われた。
 (映画評論家・垣井道弘)

書名:藁の楯
著者:木内一裕
発行:講談社文庫
定価:600円

夕刊フジ

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