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来年40周年を迎える永井豪氏の代表作『キューティーハニー』幻のコミカライズ版を発掘!

 永井豪氏の代表作『キューティーハニー』のTVアニメがスタートした1973年、メディアミックス戦略として複数の作家による同名のコミカライズが様々な漫画誌に連載されたのだが、その中でも特に読者人気の高かった石川賢氏版と岡崎優氏版がこの度初めて1冊の単行本となり復刊される。

 それぞれの作品の特徴は下記の通りだ。

 岡崎優氏は、講談社の児童向けTV情報誌「テレビマガジン」1973年10月号から翌年2月号まで、同じく講談社の月刊少女マンガ誌「なかよし」1973年11月号から翌年1月号まで、ダブル連載を手掛けた。少女漫画のテイストを残す氏の絵柄は、少女を主人公としたこの作品によくマッチしている。岡崎版では、ハニーがアンドロイドであることが明言されていないが、これは対象読者層に鑑み、彼女の背負う悲劇性を緩和しようという配慮だろう。なお「テレビマガジン」「なかよし」両バージョンは、今回が初の単行本化となる。

 石川賢氏は、秋田書店の少年月刊誌「冒険王」1973年11月号から翌年4月号まで、同じく秋田書店の「別冊冒険王 映画テレビマガジン」1973年11月号から翌年2月号までのダブル連載。登場パンサーのうち、トマホークパンサー、イーグルパンサー、ツインパンサー、ドリルパンサーなどは、氏がTVアニメ用にデザイン原案も描いており、その一方でジェットパンサーやアトミックパンサーなど、TVに登場しないオリジナルの敵も多い。両連載間で登場パンサーの重複はなく、また学園描写がほぼ存在しない点でも岡崎版とは好対照をなしている。まず事件性から導入される点も石川版の特徴で、氏が得意とする緩急に満ちたバイオレンス描写は冴えに冴え、独特の悲壮感とセンチメンタリズムを内包しつつ、カタルシス溢れる痛快バトルストーリーに徹しているのだ。

 来年の生誕40周年に向け盛り上がりをみせる『キューティーハニー』のアナザーワールドをぜひお楽しみいただきたい。

キューティーハニー THE ANOTHER 完全版
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書名:キューティーハニー THE ANOTHER 完全版
著者:永井 豪, 石川 賢, 岡崎 優
発売日:2012/5/20
定価:1,890円

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