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バットマンに息子が!? 新たなバットマン・シリーズの序章

 凶悪犯罪はびこるゴッサムシティにて、コウモリ型のスーツをまとい毎夜犯罪者を取り締まるバットマン。
 皆さんはこのアメコミを代表するキャラクター、バットマンに息子がいるのをご存知だろうか?

 バットマンの歴史にはジョーカーや、トゥーフェイスといった数多くの悪役が登場するが、地球環境の浄化を目的に人類の殺戮を企てるラーズ・アル・グールなる男もその一人。
 そんな宿敵であるラーズの娘とバットマンの間に生まれたのが、その息子のダミアンだ。
 実は、バットマンに息子がいるという設定は古くからあり、その起源は1987年に発売された作品(本書に同時収録)にさかのぼる。
 しかし、「バットマンに息子はいらない」「まして敵の娘との子供なんて」といった理由からファン達の間で物議を醸し、黒歴史として「なかったこと」にされてきた。
 この誰もが触れなかった設定を大胆にも掘り返し、本作の主題に取り入れたのがライターを務めたグラント・モリソンである。

 アメコミは日本のマンガとは異なり、多くの作品が分業制で作られている。
 シナリオを書くライター、原画を描くペンシラー、原画にペン入れをするインカーなど様々な工程でいろいろなアーティストが関わっているのだ。
 グラント・モリソンは、この分業化されたアメコミ業界のライターにおいて、現在トップレベルの評価を確立している人物だ。

 彼が創造したバットマン・シリーズの序章にあたる本作は、バットマンの正史(オフィシャルな歴史。アメコミの世界には登場するキャラクターは同じでも異なる世界観を持つ作品もある)にありながら、その作家性を色濃く反映している。
 綿密に張り巡らせた伏線や独特なセリフ回しは、いわゆる「アメコミ」でイメージされる単純さとは異なる味わいを持っており、この手法で語られるバットマン、息子のダミアン、さらに養子であるロビンを加えた3人の複雑な親子関係は、これまでのバットマン・ワールドに新たな側面を加え、バットマンに対するイメージを革新するはずだ。

 映画『ダークナイト ライジング』の公開を前にバットマン熱が盛り上がりつつある今、是非この新たなバットマン・ワールドに触れてみてほしい!

書名:バットマン・アンド・サン
作:グラント・モリソン
画:アンディ・キューバート
訳:高木 亮
発売日:2012年2月28日
定価:2,730円(税込)
発売元:小学館集英社プロダクション

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