独身時代にはあった夢や目標、野望が、結婚し子どもが産まれると次第に薄れていき、今は毎日を生きるのに必死で、夢を追うどころではなくなってしまっている。
夢や目標を追いかけるにはエネルギーがいる。仕事に加えて育児や家事もあるとなれば、そのエネルギーを維持するのは容易ではない。しかし、家庭を持ったからといって自己実現を諦めるのはもったいない。
『パパこそ日記をつけなさい』(幻冬舎刊)は、毎日に忙殺され自己実現を忘れかけているパパたちに向けた一冊。多忙を極める毎日でも家庭内を円満に保ち、自分も家族も「なりたい自分」を目指す家庭を築くために何が必要なのか。著者の浅黄祐樹さんにお話をうかがった。
――『パパこそ日記をつけなさい』についてお話をうかがえればと思います。まず、本書をお書きになった動機のところで、今のパパたちに対してどのような問題意識を持っているのかについてお聞きできればと思います。
浅黄:パパとしての役割についての知識や行動が追いついていない方が周りを見ても多いように思っています。もちろん、自分自身も例外ではないのですが。
周りのパパたちと会って話したりしていても、どのパパも抱えている問題や悩みが似通っていると感じています。日常生活に疲れてしまっていて、パパという役割を楽しめていない人がすごく多いんですよ。そこはやはり問題なのかなと考えています。
――「共通する悩み」というのは、本書で書かれているような「家族とのコミュニケーション」についての悩みも含まれますか?
浅黄:そこはすごく大きいと感じています。背景としては、我々が子どもの頃の「父親像」と、今父親として求められているものがかなり違ってきていることがあるんでしょう。
もちろん「今のパパはこうあるべき」という正解はないのですが、少なくとも「自分はこういうパパでいよう」というイメージと、家族から求められることにギャップができてしまっている人は多いのが現状だと考えています。
――自分の父親を想像して家庭で振舞ってしまうとギャップが生まれてしまう。
浅黄:そういうことだと思います。昔はパパが外で稼いで、ママは家事育児を引き受ける、というのがモデルとしてあったわけですが、今は共働きが当たり前ですから、男性も育児や家事をやらざるを得ない。仕事も家事も育児もかなり高いレベルで求められる環境になっているのかなと思いますね。
――家族(特に妻)とのコミュニケーションに苦労している男性は少なくありません。これらの原因はどのようなところにあるのでしょうか。
浅黄:コミュニケーションはすごく難しくて、クイズのように正答があるわけではありませんし「これさえやっておけばいい」というものもありません。
夫にも妻にも別々の世界観があるので、基本的にコミュニケーションにはズレが生じるという前提をもって、そのズレを小さくしていくという考え方が大切なのかなと思っています。
私自身も苦労したのですが、一般的な男性として心地いいコミュニケーションと女性が求める心地いいコミュニケーションはまったく違うんですよね。それがわかっていない人が多い。
端的にいえば、男性はどうしても問題解決を求めるところがあって、なんらかの成果に向かって進むための会話を心地いいと感じることが多いのですが、女性はあまりそこは求めていないことが多くて、解決策よりも共感を求める傾向があります。
――男性が解決策を提示すると、女性は不快になってしまうことが多いということですか?
浅黄:本当に解決策を求めていることも、もちろんあると思います。ただ、単に聞いてほしい、共感がほしいというケースが7割、8割くらいでしょうね。
もし、男性側が解決策を話したいのであれば、ひと言前置きするのがいいと思います。相手の話をしっかり聞いたうえで「ちょっと解決策を思いついたんだけど、話していい?」という風に言えば、相手の受け取り方も変わりますからね。
――いずれにしても、相手の話を丁寧に聴くのが大切なんですね。
浅黄:そうですね。ただ、人って基本的に他人の話を聴くのが苦手なんです。まして家族が相手だとそういう姿勢を持てなくて、「こっちも疲れて帰ってきているのに、まだ話を聴かなきゃいけないのか」となりやすい。家族だからこそ、コミュニケーションはかなり意識しないと雑になりやすいんです。
――長年のコミュニケーションの齟齬が積み重なった結果、妻からの愛情を失ってしまう男性もいます。失った愛情は取り戻すことができるのでしょうか?
浅黄:イエスでもありノーでもあると思います。というのも、何でもかんでも続ければいいというものでもないので、離婚は悪いことではありません。ただ、長年我慢を重ねた結果の熟年離婚だけは避けた方がいいでしょう。本当に相手と合わないなら次の人生に行く方がいいと思いますね。
では、男性はどこで妻の愛情を失いやすいかというと、産後だと言われています。そこをうまくできずに妻の愛情を失ってしまうと、関係の修復はかなり難しいんですよね。
ただ、コミュニケーションの齟齬は男性側だけに問題があるわけではなくて、女性側の問題でもあります。今回の本は一応「パパ」に向けて書いていて、コミュニケーションはお互いの問題だけど、相手の問題はひとまず置いておいて、パパはまず自分ができることをやりましょう、ということで読んでいただきたいですね。
(後編につづく)
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