以前は「明るくて性格がいいよね」と言われていたけれど、ここ最近色々なことが上手くいかず、つい人当たりが強くなってしまい、周囲が自分を避けているように感じる。そんな悩みを抱えたことはありませんか?
でも、それはごく当たり前のこと。誰でも感情には起伏があるものです。いつでも心が晴れやかなわけではなく、時にはイライラしてしまったり、普段なら気にしないことでも過剰に反応してしまうことだってあります。
ただ、ネガティブな反応が行き過ぎてしまうと、心のシャッターが下りてしまい、「闇落ち」しかねません。心の針がダークサイドに振れるのを一時的なものにするためには、「何がネガティブな感情を増幅させるのか」を知り、対処することが大切です。
陸上自衛隊衛生学校で心理教官を務めた下園壮太先生の『教えて先生 もしかして性格って悪くなるの?』(すばる舎刊)から、心が闇落ちしそうになったときに見直すべき、「感情を増幅させる3つの要素」を紹介しましょう。
疲労には「体」と「心」の2種類があります。このうち、厄介なのが「心の疲れ」です。私たちはこの心の疲れをなかなか自覚することができず、気付かない間に蓄積されます。感情のボリュームアップはその防衛反応として出るものなので、強い怒りや不安を覚えたり、「最近、感情的になりすぎているかも」と思ったら、まずは心が疲れているのかもしれないと考えることが大切です。
心の疲労の原因としては、プレッシャーやトラブルなどの「ストレス」、転職や引っ越しなどの「ライフイベント」、SNSやテレビなどを通じて入ってくる「情報」が挙げられます。特に「ライフイベント」は、良い変化でも疲れがたまるので要注意。毎日を過ごすだけでも疲労は蓄積されるものなのです。
続いては「刺激」の連続性です。小さなストレスでも、それが連続して起きると、少しずつ感情のボリュームが増していきます。たとえば雑な仕事のふり方をする上司に対して、1回は許せても、2回、3回と重ねていくと、感情を抑えきれなくなり、それが怒りとして表れます。
また、普段は気にならない出来事でも、心身が疲労している状態に重なってしまうと、心に深く刻みつけられてしまうことがあります。それを下園さんは「偶然」や「運命」と呼びます。これが厄介なのは、心が通常モードに戻ったときにもその対象を不快だと思い続けてしまうこと。一度刻まれた感情が尾を引いてしまうのです。
最後は「記憶」です。これは恨みやトラウマといった言葉にも言い換えられます。
嫌な記憶というのは、「人」「モノ」「場所」「作業」に関連して定着すると下園さんは考えます。たとえば、かつて嫌な目にあって辞めた会社の最寄り駅に降りるだけでひどく緊張してしまう。こうした記憶に残るような事象は、自分の生命にかかわる大きな出来事であるため、それから身を守ろうと心が反応するのです。
記憶による感情のボリュームアップは、本能がその記憶を忘れないように、アラートをかけて思い出させてくれている状態であり、自然なことだと下園さんは言います。だから、イライラや不安を感じても、自分を責めずに、ありのままの自分と上手く付き合う方法を探していけばいいのです。
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では、ボリュームアップした感情と上手く付き合っていくにはどうすればいいのでしょうか? 本書はそのための考え方、セルフケア、そして心の習慣を伝授してくれます。
一つ、セルフケア方法を紹介しましょう。それは、「なぜ自分の心はモヤモヤしているのか」ということを分析すること。今、自分が敵だと思っているものは、本当に敵なのか。もし敵だとしたら、どのくらい強いのか。何が怖くて、何が不安なのか。今の自分の気持ちを認めながら、自分の心と向き合うことが大切です。
他にもさまざまなセルフケアが紹介されています。つい相手に強く当たってしまい、「自分はダメだ」と自己嫌悪する前に、本書を参考にしながら、心のマネジメントを実践してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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