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部下の本音を聞き出す「心理的安全性」の作り方

  • 書名 『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?: 職場の心理的安全性が高まる本』
  • 監修・編集・著者名林健太郎
  • 出版社名三笠書房

上から頭ごなしに指示をしていれば部下が動いてくれた時代は終わり。
これからは上司が部下一人ひとりに寄り添い、共感力を持って接すこと、それぞれの特性や長所を生かすマネジメントが必要になる。

そこで必須になるのが「傾聴力」である。ただ情報を得るだけでなく、相手との信頼関係構築に結ぶ話の聞き方とはどのようなものか。 『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?: 職場の心理的安全性が高まる本』(三笠書房刊)の著者・林健太郎さんにお話をうかがった。その後編をお届けする。

■部下が本音を話すようになる「心理的安全性」の作り方

――テレワークが普及して部下と直接顔を合わせる場面が減った上司もいるかと思います。オンライン上でのコミュニケーションの注意点がありましたら教えていただきたいです。

林:非言語の要素は伝わりにくくなりますから、頷き方ひとつとっても動きを大きくした方がいいと思います。あとはリーダーの方で多いのはモニターに顔が全部映っていないケースですね。自分がどう見えるかという演出は必要です。

ここまでは上司本人の話ですが、部下に対しては今どんな環境なのか聞くことが大切です。「そこは自分の部屋?」というように聞いていくと部下が集中できる状態にあるのかや、どんなふうに仕事とプライベートを両立させているのかがわかってくると思います。つまり画面に見えているもの以外にも気を配る、ということですね。

――部下が本音を話す条件として「心理的安全性の確保」が挙げられています。この心理的安全性の確保についてポイントがありましたら教えていただきたいです。

林:いくつか段階があって、まずは「自分が聴き役に徹する時間を作ることにした」ということが部下にわかることが重要です。

それまでは「これしろ、あれしろ」みたいな接し方をしていた上司が、ある日突然「なんでも言っていいよ」と言ってきたら、部下からしたら怖いはずなんですよ。でもそれはみんなが通過する道で、もう一回言ってみたら部下も「あれ、上司が変わった?」と異変に気づきます。でも、部下はまだ自由に話してくれないでしょうね。

その時はそれで終わったとしても、また別の機会に同じアプローチを取ってみて欲しいんです。2回目のチャレンジをすると部下からはもしかしたら、「最近どうしたんですか、気持ち悪いですよ」というような反応が返ってくるかもしれません。そんなチャレンジを何度か繰り返すうちに部下の方も、上司がこれからずっとこういう調子なのだとわかりますから、それに対応する策を準備するようになります。次また「なんでも話していいよ」と言ったら、そこでようやく「そう言われると思ってました」ということで部下が話しはじめる。このように何回かやってみることがポイントです。

――何回かはたらきかけることで部下も上司が変わったことに気づくんですね。

林:そうです。こういうやりとりを繰り返していくと、やがては上司の顔を見たら自分から話してくれるようになります。上司側としてはそれが理想の形なのではないでしょうか。

――部下の性格によっては、多忙な上司に自分の話を聞いてもらうのは気が引けるというケースもありそうです。部下が相談や愚痴を言いやすい雰囲気を作るにはどうすればいいのでしょうか?

林:「今いいよ」とか「今5分時間あるよ」というように、自分が今、時間が空いていることや持ち時間を伝えるのがポイントだと思います。

あとは「こういうことを聞きたいんだけど、どう?」というように話題を少し限定するのも有効です。「自由になんでも話していいよ」というとかえって話しにくいと感じる人もいるので。

――話題を限定する方が話しやすいというのはすごく理解できます。

林:言葉ってアプリケーションなので、自由に話していいよと言うことにより相手が「やった!」という反応をするという「結果」を求めていると思うんですよ。でもそれが起きないなら、どうしたら「やった!」といういわゆる「結果」が出るのかを考える必要があります。例えば、「この話とあの話、どちらを話したい?」というふうに相手に話題を選んでもらうのもいいと思います。

上司からすると「この人、何を聞いても話してくれないな」と思った時に、「いや、待てよ」と思えるかどうかなんですよね。人によってすぐに話せる人と、立ち上がりに時間がかかる人がいるので。それを待てるか、あるいはアプローチを変えられるかどうかが大切です。

――最後になりますが、部下とのコミュニケーションや信頼関係の構築に悩む上司の方々にメッセージをお願いいたします。

林:コミュニケーションについてはたくさん本が出ている中で、今回の本は「傾聴」とは何かという定義だけでも、データを提示するだけでもなくて、「どうやったら部下の話を聴けるのか」という実用的なところまでしっかり書いたつもりです。ただ読むだけではなくて、使ってみるというところまで進んでいただけるとすごく嬉しいです。特に4章はハウツーを10個のツールとして書いていますので、ぜひ試してみていただきたいですね。

あとは部下の話を聴くだけでなく、自分の声を聴くことも大切にしてほしいと思います。おろそかにされがちなのですが、自分が何を考えていてどう感じているのかを把握することもリーダーとして大事なスキルです。たとえば部下に対して「最近定時で帰るよね」と言う時、自分も早く帰りたくて羨ましいと思っているのか、それともただそういう状態だと伝えたかっただけなのかによって言葉は変わってくるのでご自身の心の声を「聴く」時間を取ってみることをお勧めします。

(新刊JP編集部)

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