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スーツの専門家が明かす、デキるビジネスマンの仕事服の選び方

普段、何気なく選び、何気なく着ている仕事服。
毎日決まったスーツという人もいれば、コロナ禍以降リモートワークとなり、カジュアルな服を着ているという人もいるだろう。

では、ビジネスマンの仕事服の「正解」とは一体どういうコーデなのか?
その答えを教えてくれるのが『リセット! 仕事服 新しい生活様式にふさわしい男の服選び』(技術評論社刊)だ。
豊富なイラストや写真とともに、ビジネスコーデの新定番を解説する本書には、いい仕事をするために、そして成功をするために必要な「武器」が詰まっている。

ここでは表参道のオーダーサロン「ボットーネ」のオーナーで、本書の著者である松はじめさんにビジネスコーデの新しい定番の中身、抑えておきたいファッションの基本についてお話をうかがった。

(新刊JP編集部)

■ニューノーマルの新定番は「セットアップスーツ」

――まずは今のビジネスコーデのトレンドから教えてください。

松:簡単に言ってしまえば「カジュアル化」というキーワードになると思います。これまでの「コレを着ていればOK」という文化から、バリエーションも幅広くなったというのが、昨今のスタイルです。

特に男性はスーツ、もしくはジャケットという暗黙の決まりのようなものがありましたが、急に働き方が変わり、リモートワークが導入されたり、多様な場所で働くことが認められるようになったりしたので、どこまでがビジネスウェアとして許容されるのかがまだ決まっていないというのが現状なんです。

今はそれをひと言で「カジュアル化」と表現しましたが、この「カジュアル」もすごく難しい。というのも、「カジュアル」のさらにその奥に「ラフ」というものがあるんです。

――「ラフな服装で」とよく使いますね。

松:はい。この「ラフ」の語源はゴルフの「ラフ(Rough)」で、フェアウェイの外の部分を指すので、「ラフな服装」というと「ビジネスウェアの枠外」ということになるんですね。ですから、ビジネスシーンで着る服として「ラフ」であってはならないと思うんです。

一方で、「カジュアル」はどうかというと、ビジネスの枠内の中で、社長が自社らしさであったり、社員が自分らしさを表現するということになります。以前はみんなで同じものを着るということが当たり前でしたが、それが変化して一人ひとりが服装でキャラクターを作っていったほうがいいという時代に変わってきたんですね。

――本書を読むと、ビジネスウェアの着こなしとしてはスマートさ、カジュアルさが許容されるようになっている一方で、シンプルさがとても大切な要素になっていると感じました。スーツの着回しとして、スマートさ、カジュアルさを上手く取り入れるために、どういうところを見直していけばいいのか、アドバイスをいただけますか。

松:まずは色ですね。ファッション上級者の方々の共通点は、ファッションが足し算ではなくて引き算で成り立っているということです。ココ・シャネルも「ファッションとは、上級者になるほど引き算である」という言葉を残していますよね。特に色については、使う数を極力抑えるべきです。

ただ、それは極端に一色だけしか使わないというわけではありません。例えば同じ系統の色でトーンを作ってあげる。本書ではワントーンコーデのおすすめとしてブルー系、グレー系、ベージュ系を紹介しています。

少しずつ色を変えながらも、全体的にトーンを合わせてシンプルさを保つ。これが基本的なルールとなります。

他にも例えば茶色と紺色の組み合わせなんかはシンプルに見える世界共通の言語のようなものです。カラーリングのルールは長い年月をかけて出来上がったものですから、まずはその基本を抑えていくところからはじめると、万人からスマートに見られるスタイルになると思います。

――確かに基本に忠実であれば、事故は起きませんね。

松:そうです。特にビジネスシーンにおいては社会性を求められますし、ビジネスでの目的を達成するために、そこから逆算をしてコーデを決めていったほうが、メリットは大きいと思います。

「カジュアル」といってもいわば戦うための服ですから、ルールが多様化しているからこそ、基本に忠実になれば、目的は達成しやすいのではないかと。

――ビジネスの目的を達成するという観点から服装を選ぶという考え方は重要です。

松:例えばスティーブ・ジョブズはタートルネックとデニムで通していましたが、あれだけこだわりの詰まったiPhoneを生み出した人間が、服装にこだわりがなかったわけでは絶対ないはずなんです。むしろ、あの服装もこだわり抜いて行き着いている。

おそらく彼は私生活での選択肢を減らしてビジネスに集中しようという発想であの服装に行き着いたのだと思いますが、ビジネスパーソンも少ない着数でどれを合わせてもシンプルできれいに合うというクローゼットを作っていくほうが、朝の貴重な5分間を捻出することができるはずです。

――まさにデキるビジネスパーソンの服の選び方ですね。本書ではニューノーマルの新定番として「セットアップスーツ」が挙げられています。その特徴やメリットを教えてください。

松:まずは上下で別々に使えます。ジャケットだけ着まわすこともできるし、パンツだけでもOK。それに、スーツほどカタくないけれど、ビジネス感は出せるというところで、オフィスではないところで働くときに、仕事をしている感を出すにはちょうどいいです。

ビジネスのカッチリ感を出したいのであれば、ネイビーのセットアップはすごく良いですし、もっと柔らかめのイメージならばベージュのセットアップですね。この本の中でもスーツのページではネイビーを、ビジネスカジュアルのページではベージュのセットアップを紹介しています。

――自宅やコワーキングスペースで仕事をされている方もいらっしゃると思いますが、セットアップスーツはそういう方々にも効果的になりそうですね。

松:そうですね。例えば保険のセールスをしている方で、最近はオンラインでの商談が多くなったと。でも、家にいるのに、商談のためにわざわざスーツを着てネクタイをするのも気が乗らないし、とはいえカジュアルも失礼にあたるかもしれないというところで、ビジネスコーデではあるけれど微妙にゆるさも出ているセットアップが使えます。

それに選ぶのが基本的に楽なんですよね。お子さんのいる男性であれば、幼稚園のお遊戯会を見に行くときなんかにも、セットアップにTシャツやポロシャツを合わせて、白いスニーカーを履けば完成です。上下バラしても使えるし、合わせても使える。それがセットアップの最強さなんですよね。

――「カジュアル化」が進むなかでの新定番ファッションですね。

松:そうですね。ビジネスであったり、フォーマルな場での服装のポイントって、一番は「襟」にあると思うんです。西洋ではひと昔前までは襟付きの服を着ていないと入れないレストランがあったくらいですし、襟があるだけでちゃんとしている感じなってしまう。本当に襟は最強の武器ですね。

――確かにオンラインでの打ち合わせでも上半身は画面に映りますから、そのときに襟があるかないかで印象は大きく変わります。また、先ほどスーツの着回しのポイントとして色をあげていただきましたが、そこであげていただいたワントーンの他に松さんおすすめの色の組み合わせはありますか?

松:少し触れましたが紺色と茶色の組み合わせは最強です。イタリア語で「アズーロ エ マローネ」というのですが、簡単に言えば紺色・青色系と茶色や赤色系はすごく合うということなんです。

イタリアのネイビーのスーツをパリッと着こなした紳士が茶靴でコツコツと歩いている姿が格好よく見えるのは、紺色と茶色という無敵の組み合わせが入っているからなんです。この2色が入っているだけでこなれた感じが出ますからね。

また、この2色を組み合わせるときは、紺色を多め、茶色を少なめにすることがポイントです。補色といって、その色と正反対の色を組み合わせると互いの色を引き立てる効果があるとされていて、紺色だったらその反対にあるのが茶色や赤、オレンジにあたります。だから、紺色の中に茶色を入れることで、お互いの色が引き立て合うわけですね。

ファッションの道に入ったことがある人であれば定番の組み合わせですが、その定番にはしっかりとした理由があるわけで、それを真似ていけば単純にビジネスでも、カジュアルでも、ファッショナブルに見えるようになるというわけですね。

(後編に続く)

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