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人間関係のトラブルに「話し合い」は必要か? 米大学の研究が意外な結果に

  • 書名 『世界最先端の研究が教える さらにすごい心理学』
  • 監修・編集・著者名内藤誼人
  • 出版社名総合法令出版

良かれと思って言ったことで相手を傷つけてしまったり、相手に気に入られようと努力したがまったく的外れに終わったりと、とかく人間関係は難しいもの。

ただ、難しいと思っていると余計にうまくいかなかったり、失敗するかもしれないと思っていると本当に失敗してしまうのが人間でもある。「人間関係なんて、そこそこうまくやれれば十分」「誰かに嫌われたって、死ぬわけじゃない」と、気楽に考えられればもうけものだ。

■人間関係のトラブルに「話し合い」は必要か

心理学者の内藤誼人氏による『世界最先端の研究が教える さらにすごい心理学』(総合法令出版刊)は人間心理にまつわるユニークな研究をとおして、時に不合理で不可解な人間の心のありように迫る。いつの時代も私たちが悩みがちな「人間関係」についても、これまで正しいと思われてきたことを覆すような結果を示す様々な研究があるようだ。

たとえば、私たちは家庭の中でも職場でも、学校でも、誰かと意見が食い違ったり対立したりすると、「お互いに思ったことを言い合って、話し合う」ことがよしとされている。話し合うことで対立点がはっきりし、妥協できるところとできないところが整理されることがあるからだ。そして、話し合わずにいることは、「問題を先送りしているだけ」ということで、あまりいいこととはされていない。

ただ、この「問題の先送り」は、案外悪いことではないのかもしれない。
アメリカ、イリノイ大学のキース・マーニガムは20のプロ弦楽四重奏メンバー計80人を対象に、演奏やコンサートについてメンバー間での衝突があるかどうかをインタビュー調査した。

同時にこの20のグループについて「コンサート料金」「アルバム数」「他の弦楽四重奏グループからの評価」「昨年のコンサート回数」「グループに関する記事の新聞や雑誌への掲載数」「そこでの評価」という指標で「成功の度合い」を計ったところ、成功しているグループほど、メンバー間で気に入らないことがあっても、解決するための「話し合い」をしていなかったという。

もちろん、この研究結果が人間関係の全てを表すわけではないし、話し合いのメリットもたくさんある。ただ、人間関係には「時間が解決すること」や「相手が自然に気づいていけないところを改善するケース」も少なからずある。あえて話し合いの場を持って互いの気になっている点を指摘するだけが解決法ではない、と考えると気持ちが楽になることもあるのではないだろうか。

■「一流の中でもまれる人生」と「お山の大将」 自己肯定感が高いのは?

また、周囲にどんな人間がいるかは自己肯定感に大きな影響を与える。
一流の中でもまれて、苦労しながら自己研鑽を積む人生と、自分より能力的に劣る集団でトップを走る人生。そこに優劣はないが、満足感や自己肯定感という点で言えば、どうも後者に軍配が上がるようだ。

本書で紹介されている、イスラエル・ハイファ大学のモーシェ・ゼイドナーが行った調査が興味深い。

ゼイドナーは、「超優秀」と判断された1020名の小学生を対象にある調査を行った。この1020名の半分は普通の子どもと一緒に授業をうけるレギュラークラスに在籍し、残り半分は超優秀な子どもだけを集めた特別クラスに在籍していたのだが、こちらの特別クラスの子どもの方が、「私は頭が悪い」「私は物覚えが悪い」「私は試験ができない」などのネガティブな発言が多かったという。繰り返すが、彼らは自分も「超優秀」なのに、である。

ただ、人間は周りにいる人と自分を比べて自己概念を形成していく生き物だ。たとえ自分が優秀であっても、同じくらい優秀な人が周囲にたくさんいると、自分に自信を持てず自己評価も低くなりやすい。

一方、「お山の大将」はあまりいい意味で使われない言葉だが、自分より劣る人ばかりの集団の中でトップを走るのは快感には違いない。精神的に満ち足りた状態で生きていくなら、背伸びせずに「自分が上位でいられる集団」に属するのがいい、ということか。

ここでは人間関係にまつわる心理学研究を紹介したが、本書では明日からすぐ使える実用的なものから、人間の隠された本質をあらわにするようなディープなものまで、古今東西の研究が多く取り上げられている。手にとってみると、目からウロコの新知識やびっくりするような研究結果がきっと見つかるはずだ。

(山田洋介/新刊JP編集部)

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■人間関係のトラブルに「話し合い」は必要か

心理学者の内藤誼人氏による『世界最先端の研究が教える さらにすごい心理学』(総合法令出版刊)は人間心理にまつわるユニークな研究をとおして、時に不合理で不可解な人間の心のありように迫る。いつの時代も私たちが悩みがちな「人間関係」についても、これまで正しいと思われてきたことを覆すような結果を示す様々な研究があるようだ。

たとえば、私たちは家庭の中でも職場でも、学校でも、誰かと意見が食い違ったり対立したりすると、「お互いに思ったことを言い合って、話し合う」ことがよしとされている。話し合うことで対立点がはっきりし、妥協できるところとできないところが整理されることがあるからだ。そして、話し合わずにいることは、「問題を先送りしているだけ」ということで、あまりいいこととはされていない。

ただ、この「問題の先送り」は、案外悪いことではないのかもしれない。
アメリカ、イリノイ大学のキース・マーニガムは20のプロ弦楽四重奏メンバー計80人を対象に、演奏やコンサートについてメンバー間での衝突があるかどうかをインタビュー調査した。

同時にこの20のグループについて「コンサート料金」「アルバム数」「他の弦楽四重奏グループからの評価」「昨年のコンサート回数」「グループに関する記事の新聞や雑誌への掲載数」「そこでの評価」という指標で「成功の度合い」を計ったところ、成功しているグループほど、メンバー間で気に入らないことがあっても、解決するための「話し合い」をしていなかったという。

もちろん、この研究結果が人間関係の全てを表すわけではないし、話し合いのメリットもたくさんある。ただ、人間関係には「時間が解決すること」や「相手が自然に気づいていけないところを改善するケース」も少なからずある。あえて話し合いの場を持って互いの気になっている点を指摘するだけが解決法ではない、と考えると気持ちが楽になることもあるのではないだろうか。

■「一流の中でもまれる人生」と「お山の大将」 自己肯定感が高いのは?

また、周囲にどんな人間がいるかは自己肯定感に大きな影響を与える。
一流の中でもまれて、苦労しながら自己研鑽を積む人生と、自分より能力的に劣る集団でトップを走る人生。そこに優劣はないが、満足感や自己肯定感という点で言えば、どうも後者に軍配が上がるようだ。

本書で紹介されている、イスラエル・ハイファ大学のモーシェ・ゼイドナーが行った調査が興味深い。

ゼイドナーは、「超優秀」と判断された1020名の小学生を対象にある調査を行った。この1020名の半分は普通の子どもと一緒に授業をうけるレギュラークラスに在籍し、残り半分は超優秀な子どもだけを集めた特別クラスに在籍していたのだが、こちらの特別クラスの子どもの方が、「私は頭が悪い」「私は物覚えが悪い」「私は試験ができない」などのネガティブな発言が多かったという。繰り返すが、彼らは自分も「超優秀」なのに、である。

ただ、人間は周りにいる人と自分を比べて自己概念を形成していく生き物だ。たとえ自分が優秀であっても、同じくらい優秀な人が周囲にたくさんいると、自分に自信を持てず自己評価も低くなりやすい。

一方、「お山の大将」はあまりいい意味で使われない言葉だが、自分より劣る人ばかりの集団の中でトップを走るのは快感には違いない。精神的に満ち足りた状態で生きていくなら、背伸びせずに「自分が上位でいられる集団」に属するのがいい、ということか。

ここでは人間関係にまつわる心理学研究を紹介したが、本書では明日からすぐ使える実用的なものから、人間の隠された本質をあらわにするようなディープなものまで、古今東西の研究が多く取り上げられている。手にとってみると、目からウロコの新知識やびっくりするような研究結果がきっと見つかるはずだ。

(山田洋介/新刊JP編集部)

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