読むべき本、見逃していない?

ただ腹筋をやってもタテ割れはしない 誤解だらけの筋トレを根本から問い直す本

  • 書名 ロジカル筋トレ
  • 監修・編集・著者名清水忍
  • 出版社名幻冬舎

外出自粛でなまった体を鍛え直したい。たるんだ体をシェイプアップしたい。もっと疲れにくい体を手に入れたい。そんな思いからジムで、自宅で、筋トレをやってみているという人は少なくないだろう。

筋トレといっても、実に様々だ。自分は今何がしたいのか、何の目的でトレーニングしようとしているのか考えなければ、効果は半減してしまう。

トレーニングを根本から問い直す新しい筋トレ本『ロジカル筋トレ』(清水忍著、幻冬舎刊)はこんなチェックテストから始まる。

□「ベンチプレス150キロ」「腹筋1000回」といった人の話を聞くと、そのすごさにあこがれてしまう
□部活動では「腹筋30回」「腕立て伏せ30回」といったお決まりのメニューを何の疑いも持たずにやってきた
□どんなフォームであろうと、筋トレをやらないよりはやるほうがましだから、見様見まねの自己流でやっている
□腹筋をガチガチに硬くすれば、パフォーマンスは上がると思っている
□「このトレーニングにはどんな意味があるのか」なんて考えず、ひたすら無心で汗を流している

この他にもたくさんの項目があるのだが、5つを抜粋した。
いかがだろうか。

著者でありプロアスリートのパーソナルトレーナーとして人気を集める清水忍氏は、この中のひとつでも当てはまれば「ざんねん筋トレ」の危険性大だと指摘する。

トレーニングを始めた当初は目的があったのに、いつのまにか筋トレをやることが目的になっていたり、フィットネスクラブのトレーナーから言われるままにやっていたり。あるいはフォームを気にすることなく、ひたすら筋肉を動かしている。それでは「ざんねん」なまま。そこで本書はロジカルに考えて筋トレをし、効果を最大化するための基礎を教えてくれるのだ。

■誤解だらけかも? 腹筋トレーニング

例えば、「腹筋」といえば、筋トレを始めたときにまずここから鍛えようと思う場所だ。

でっぷりした腹をなんとかして、割れた腹筋が見えてくる。
「腹筋タテ割れ」「シックス・パック」「腹筋カチカチ」といった言葉もよく耳にするだろう。

そんな腹筋について、清水氏は「ただやみくもに鍛えればいいというものでもない」と指摘する。腹筋をガチガチに固めたがゆえに、かえってパフォーマンスを落としてしまうケースもあるという。

例えば必死に起き上がり運動をやっても、腹筋は割れない、と清水氏。それはなぜか。実は腹筋がタテに割れる現象は、体脂肪の減少によって起こるからだ。つまり、筋トレの量ではなく、体脂肪さえ減らせば、腹は自然に割れてくるのだという。

もちろん、腹筋トレを毎日やっていれば、腹直筋などが太くなるので、多少は腹筋を目立させることはできるかもしれない。しかし、腹筋が割れたように浮き出てくるには、そもそもとして「体脂肪の減少」という条件がないといけない。

では、腹筋トレをしていれば、お腹についた脂肪は減るのか。その答えは「減らない」だ。清水氏によれば、「筋トレ自体ではやせない」が医学的・科学的な事実であるという。もしお腹を引っ込めたいというのであれば、まずは食事コントロール、そして体脂肪をエネルギーとして使う有酸素運動だ。体内に入ってくるエネルギー量を減らし、出ていくエネルギーを増やす。これがいちばん効率的なのである。

となると、腹筋を鍛えるとは一体どういうことなのだろうか。
清水氏いわく、腹筋は「全身の連動性の要」であるという。それはつまり、「下半身の力を上半身に伝える」という体の動作における大切な役割を担っているということ。この役割はどんなスポーツにおいても大切だ。一瞬ごとの動的な変化にしなやかに対応し、「体を連動させる力」を発揮していくことが、体幹の筋肉に求められているのだ。

なんとなくやっていたトレーニングの意味を一つ一つ解剖していくと、「なぜここを鍛えるのか」「なぜこのフォームがいいのか」の意味を理解できるようになる。そこで立ち戻るべきは、自分は何のためにトレーニングをしているかという目的だ。

本書では「なぜ、これやるのか」を原点としている。その原点に立ち返り、その目的にあったトレーニングを積み重ねていかなければ、効果は最大化しない。「やれと言われたからその通りにやっている」のではなく、自分でロジカルに考えてトレーニングをする。当たり前のように思えて難しかったりするそれを、実践していく必要があるのだ。

本書には筋トレの正しいフォームが分かりやすくイラストで解説されているので、運動を本格的にやっていないけれど、最近ジムに通いだしたり、自己流で筋トレをやりはじめた人にとっても参考になるだろう。筋トレの思い込みを塗り替えていく一冊である。

(割井洋太/新刊JP編集部)

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