Excelを上手く扱える人は、仕事が速い。これはパソコン仕事をしている人なら、もはや常識といったところだろう。
近年はインターネット上から様々なデータを簡単に入手できるようになり、専門家以外でもデータ分析を行う機会が増えている。そんなときに、Excelの「引き出し」が少ないと、効率が悪く作業に時間がかかってしまう。
『Excelデータ分析の「引き出し」が増える本』(木村幸子著、翔泳社刊)は、自由度の高い集計や分析をするために必要な「引き出し」を増やしてくれる一冊だ。
基礎から見直したい人のための「数式の操作」をはじめ、売上や予算の分析、販売・顧客データの分析など「やりたいこと」軸に分析機能を取り上げる。基礎から応用まで幅広く網羅してくれているのが本書の最大の特徴だ。
さらにもう一つの特徴は、図表が豊富で解説がわかりやすいことだ。データの視覚化テクニックでは、グラフをフルカラーで掲載している。
データ分析の「引き出し」が増えることで、数字が並んでいるだけのExcelシートはマーケティングに大きな示唆を与えてくれる重要なシートになる。
では、具体的にどんな「引き出し」が増えるのだろうか。本書を少しのぞいてみよう。
●顧客データの管理、細かくセグメントを分けて人数を把握したいときはこれを使え
例えば、顧客データから性別による人数構成を把握したい、男性はどのタイプの会員が多くて、女性はどのタイプの会員が多いのか知りたい、といったセグメントを分けて人数を把握したいときに使えるのが「COUNT」で始まる関数だ。
これは、何らかのデータが入力されたセルの数を数えたり、逆に空欄になっているセルを数えたりと、より顧客のデータを立体的に捉えるうえで役立つ関数である。
「COUNTIF関数」 これは、特定の条件を満たすセルだけを取り出して数えることができる関数だ。条件を満たすレコードの数を数えるときに役立つ。例えば、男性の会員人数が知りたいときはこのCOUNTIF関数を使おう。
COUNTIFの書式:=COUNTIF( 範囲, 検索条件)
「COUNTIFS関数」 さらに複数の条件に該当するレコードの件数を求める場合には、COUNTIFS関数を使おう。これによって、例えば「顧客の中で男性のうち、レギュラー会員の数を調べる」といった、より細かな条件下での件数を調べることができる。
COUNTIFSの書式 :=COUNTIFS( 検索条件範囲1, 検索条件1, 検索条件範囲2, 検索条件2...)
この関数を使いながら、より細かくセグメントをしぼって分析していければ、顧客の傾向の把握が容易になり、深い示唆出しができるようになる。ぜひ覚えておきたい。
●アンケート結果のデータ活用で使える「CHOOSE関数」
Excelを使ってアンケートの結果を集計し、分析する。よく見られる光景だが、アンケートが番号で回答されたときに、その番号が具体的に何の項目を示しているのかExcel上で表示されていれば分かりやすくなるだろう。
そこで使えるのが「CHOOSE関数」だ。
まず、回答数字が並んでいる横の列に新しい列を挿入し、その列の先頭セルにCHOOSE関数の式を入力する。
CHOOSEの書式:=CHOOSE( インデックス, 値1, 値2...)
このとき、「インデックス」には回答番号のセルを指定し、「値1」「値2」には置き換え後の項目をそれぞれ「"」で囲んで指定する。入力が終わったら、そのセルを選んで、下方向にオートフィルを実行すると、すべてのレコードの番号が項目に置き換わるのだ。
この後、「値貼り付け」を利用し、セルの内容を数式から計算結果に変換。そして、元の数字のみの列を削除すれば、データを該当する項目に置き換えることができる。こうなっていれば、それぞれの回答番号が何を意味しているのか一目瞭然だ。
本書はデータ分析の手法を全般的に教えてくれる。
どのようなことを調べたいのか、分析したいのかといったニーズから適切な分析方法を教えてくれるので、デスクに置いておけば重宝する。そして、知っていれば使える知識ばかりなので、今後のデータ分析の効率アップにもつながる。
データ分析に携わっている人はもちろんのこと、エクセルについてもっと使いこなしたいという人にとっても大いに参考になる一冊だ。エクセル初心者にとっても分かりやすく説明されているので、さまざまな場面で活用してほしい。
(新刊JP編集部)
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