「なかなか疲れが取れなくて、毎朝起きるのがつらくなった」
「午後になると体がだるくて眠くなる」
「食べるとお腹が張って体が重い」
「腹痛や下痢、便秘を繰り返してしまう」
こんな不調を感じたことはありませんか?
あるいは、アトピーやぜんそく、花粉症などのアレルギー、肌荒れや乾燥肌、生理不順や重い生理痛に悩む人もたくさんいます。そして、そんな体調不良を医師に話しても、「とくに異常はありませんね」「ストレスでしょう」「加齢のせいですよ」「慢性的なものですね」などといわれがちです。
どこも異常がないのに、調子が悪い。これらの症状は、もしかしたら小麦から来ているのかもしれません。
自身のクリニックで長年「脱小麦」の食生活を指導する本間良子先生は最新刊『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム刊)で、小麦が不調をもたらすメカニズムと、その影響についてくわしく解説しています。
「私たちの体は、食べたものでできています。体によいものを食べれば健康を維持できますが、悪いものを食べれば体調を崩して病気になります。では、悪い食べものとはなんでしょうか? 意外かもしれませんが、じつは、多くの人が毎日食べている小麦なのです」(本間先生)
小麦には、グルテンを構成するタンパク質のひとつ「グリアジン」が含まれています。このグリアジンは、小麦アレルギーなどを引き起こす物質として知られますが、分解されにくい特徴があるため、食べると腸の中にとどまり続けます。しかも、腸の粘膜に「くさび」のように入り込むため、便として排出されにくく栄養としても吸収されません。そうして粘膜が炎症を起こし、下痢や便秘のほか、体の不調や肥満などにつながる。これが、小麦からくる体調不良のメカニズムなのだそうです。
「小麦によって、体のいたるところに『炎症』が起きます。腸で炎症が起きると、やがて『腸漏れ症候群』と呼ばれる、腸に穴があく症状を招きます。そうなると、腸内の細菌や毒素などが腸の外に漏れ出して、さまざまな体の不調を招きます」(本間先生)
また、本書では小麦が脳にも炎症を引き起こす可能性についても触れています。脳の血管に不要なものが入るのを防ぐバリアを突破すれば、細菌や毒素が血流に乗って脳にいたります。そうなると、集中力の低下、イライラ、もの忘れのほか、認知症やADHD(注意欠陥多動性障害)を招く原因にもなるのです。
「多くの方に知ってほしいことは、パンや麺などの小麦を中心にした食生活が、健康に大きな影響をおよぼしているという事実。あらゆる体の不調は、各部位が『炎症』することが原因で起こります。それこそ、脳や神経が炎症すれば認知症の原因となります」(本間先生)
毎日小麦を食べている人はたくさんいます。しかし、日本には、「グルテン不耐症」の人が多いのではないかと本間氏は指摘します。これは、小麦の消化・吸収がうまくいかず、体の中に炎症を引き起こしやすくなる症状のこと。
「グルテン不耐症」は遺伝的な要素が関係するものの、それよりも「小麦をたくさん食べているため」に、グルテンに敏感になる人がたくさんいるのが現状なのだそう。わたしたちは、体が許容できる範囲を超えた小麦を、知らず知らずのうちに食べてしまっているようです。
小麦をやめるだけで、原因不明のさまざまな不調の改善に役立つと本書は主張します。でも、「小麦を食事から抜くなんて大変そう......」と、思う人もいるかもしれません。じつは、「脱小麦」を続けるにはコツがあるそう。
「やり方はとても簡単。ふだんの食事から3週間、小麦を抜くだけ。パンやパスタなど主食となる小麦を抜くだけで、細かい小麦は気にしません。もしつらければ、1週間だけ小麦を抜く『ならし運転』ではじめてもいいし、平日だけ小麦を抜くはじめ方でもいいでしょう。大切なのは、無理をすることなく続けていくこと。続けるうちに、あれほどしつこかった不快症状が改善され、体調がどんどんよくなっていくはずです」(本間先生)
本書では、小麦が不調をもたらすメカニズムをくわしく解説しながら、「どうすれば小麦を抜けるのか」、その具体的な方法もわかりやすく提示されています。
大切なのは新しいなにかをはじめることではなく、「悪いものをやめる」こと。原因不明のしつこい不調が気になる人は、一度「脱小麦」生活を試してみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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