今年は外出自粛やリモートワークで自宅にいる時間が増え、ストレスが溜まってきたり、身体のあちこちに普段とは違う疲れが溜まっているのを感じている人も多いだろう。
とかく運動不足になりがちで、気持ちもふさぎやすい今、心身を整えるために「整体」を実践してみてはどうだろう。
『生き抜くための整体』(片山洋次郎著、河出書房新社刊)では、日々のストレスを自分でほぐす16のメソッドなど、一生使える身体感覚の磨き方が解説されている。
著者の片山洋次郎氏は、身体の自己調整のサイクルが自然に滑らかに回っていることを「身がまま」と呼び、人それぞれの癖やしぐさの多くも、この身がままのスキルだとしている。整体とは、それを技術展開したものなのだそうだ。
身がままのスキルとは、具体的にはあくびや伸びのこと。これらは身体の疲れをほぐしたいときに出る自然なリラックス動作だ。このような気分を切り替えたり、リラックスするための「身体の知恵」が人間の身体にはたくさんある。この無意識に行っている動作を見直すと、身体のはたらきを快適にすることができるという。
たとえば、まばたき。集中・緊張しなければいけないことが続くと、まぶたを持ち上げる筋肉は緊張したままの状態になる。まばたきをするのは、まぶたと目を動かす筋肉の緊張を緩めようとするもの。緊張が続く場面でまばたきが多くなるのは、緊張を和らげるため。涙で目を潤し、眼の疲れを防ぐまばたきは、天然のリラックス運動と言えるのだ。
一方で、まばたきが少ない人が近年増えている。パソコンやスマホのモニターを長時間集中して見ていると、まばたきが少なくなると言われている。長時間の慢性的緊張で、まぶたを動かす筋肉が固まり、まばたきしにくくなっている。
もうひとつ、眼の緊張と関連しているのが、耳の筋肉だ。人間の場合、耳を動かす筋肉である耳介筋はだいぶ退化しているが、それでも緊張すると、耳の筋肉も緊張する。なので、耳の緊張を緩めれば、頭や首、眼の緊張が緩んでリラックスできる。
そのやり方には、以下の3つの手順がある。
1.耳のすぐ後ろに軽く触れる
2.耳の筋肉が硬くなっている場合、耳の軟骨の真ん中あたりが硬くなる
3.耳を軽く引っ張り、一呼吸おいてから、数呼吸かけてゆっくりゆるめていく
普段、自然と行っている動作も、意識することで心身への効果を体感できるようになるだろう。本書から「身がまま」のスキルとはどんなものなのか理解することで、身も心も楽になるはずだ。
(T・N/新刊J P編集部)
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