商談、打ち合わせ、飲み会、合コン、何気ない日常会話。
「これが伝えたいんだ!」と思って話をするけれど、なかなか伝わらないどころか、相手は退屈そうにしている。そして、後から「さっき何話していたんだっけ?」と確認を入れられる始末......。
話下手を自認している人間にとって、話をすることは苦行でしかない。
そんな苦手な場をどう乗り切ればいいのか。
このとき、「自分は話をせず、相手に話させる」ということが思いつくだろう。ただ、それだけでは不十分だ。
『100%得する話し方』(新井慶一著、すばる舎刊)によれば、「話をしない」ことよりも、「話を振らせない」ことが重要だという。 つまり、自分は会話の舞台から降り、相手に話をさせて、自分に話が振られないスキルを身につければ、ほとんどの会話は上手くいくというのだ。
話下手の多くは、「自分の言いたいことが伝わっているだろうか」と不安になりながら話をしている。しかし、実は自分の話がまったく伝わっていないことが多い。なぜなら、「人は自分の話を相手が真剣に聞いているかどうかだけを見ている」からだと著者の新井氏は指摘する。
人は相手の話を聞いているようで、あまり聞いてない。これが真実だ。話を聞きながら考えていることは、「次に自分は何を話そうか」ということ。みんな自分の話を聞いてほしいのである。
だからこそ、ちゃんと話を聞いてくれる存在は神々しいほど光り輝いて見えるのだ。
ここでの「合いの手」とは、返事やうなずき、目線、表情、話すスピードなど様々な反応のこと。自分から話をしないで、相手にひたすらスポットライトを当てるために必要不可欠だ。
その基本は「相槌を打つ」ことだが、相手を盛り上げるために、気の利いた相槌をしないと...などと難しく考えなくていい。「は・ひ・ふ・へ・ほ」(は:はーっ!、ひ:ひぃー!、ふ:ふむふむ、へ:へえー!、ほ:ほぉ!」)を駆使すればいいのだ。
「最近、引っ越したんですよ」
「へえー!」
「ちょっと駅から遠いんですけれど、自然が静かで」
「ほぉー!」
といった具合だ。
ポイントは、前のめりでやや食いつき気味に「は・ひ・ふ・へ・ほ」の法則を使い続けること。「次はどんな話をしてくれるんですか?」という気持ちを持ち続けることが大切だと新井氏は述べる。前向きに話を聞いている姿勢でいることによって、相手はどんどん話をしてくれるのだ。
相手が気持ち良く話せるようにするのが、新井氏の提唱する「トクする話し方」のキモ。
そこで効果的なのが「ホメホメ合いの手」だ。
その中でも破壊力満点のミラクルワードが「そんなの聞いたの、初めて!」。
この言葉は、「男性が彼女に言われて一番嬉しい言葉」としてよく取り上げられる定番のキラーフレーズ。相手に感謝し、相手を立て、プライドをくすぐり、もっと話してあげようという気持ちを大いに盛り上げる言葉だ。
また、新井氏は、男性だけでなく女性に対しても効果的だとし、「あざとい」と考えずにどんどん使うことを推奨している。
本書は話下手の人たちに向けて、コミュニケーションの本質や、勝手に話が自分の聞きたい話をしてくれる方法、得する話し方の方法などを伝授してくれる。
特に自己肯定感が低いと思っている人は、このコミュニケーション法を実践することで、相手の自己肯定感が上がり、そして自分の自己肯定感も上がっていくという相乗効果が生まれるという。
即効性が高いので、本書を参考に少しでも自分のコミュニケーションを変えれば、変化が出てくるはずだ。
(新刊JP編集部)
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