モノの「言い方」ひとつで、相手に与える印象や評価は大きく変わる。また、とっさの一言が出てこなかったり、うまく断ることができない、というのは性格に負う部分もあるのだろうが、言葉の使い方のレパートリーの数によるところも大きい。
言葉遣いで損をする人もいれば、得をする人もいる。長年積もり積もったら大きな違いになりそうである。
「お礼」「断る」「叱る」「謝る」。
仕事でも私生活でもよくあるこんなシチュエーション別に、公の場で役立つ大人の「言い方」を紹介するのが『見るだけで語彙力アップ! 大人の「モノの言い方」ノート』(佐藤幸一著、総合法令出版刊)だ。
大人のモノの言い方とは、どういったものなのか。大人が使う「言い方」には、5つのポイントがある。
1.頭ごなしの「否定的な表現」は使わない
「~はできません」といった相手の気持ちを一方的に否定するような表現は避ける。たとえ相手の勘違いだとしても、一方的に否定せずに「そうですね。ただ~」と一旦受け止めるようにする。
2.「クッション言葉」の活用
依頼するときに「よろしければ」などのクッション言葉を使うと、印象がソフトになり、相手も聞く態勢を取りやすくなる。
3.「問いかけの言い方」の選択
自分が言いにくいことは「~してください」よりも「~していただけませんか?」と問いかけにすることで、「助けてほしい」という雰囲気が相手に伝わりやすくなる。
4.数量・期日は具体的に
具体的なことを濁した言い方をするよりも、相手に依頼するときはクッション言葉を使いながら、数量や期日といった数字をはっきりと示すことで、ミスや勘違いを減らすことができる。
5.「ありがとうございます」への言い換え
「すいません」が口癖になっている人も多い。けれど、依頼を受けてくれた相手には「ありがとうございます」と感謝の意を伝えたほうが、お互い気持ちよく接することができる。
冒頭で書いた、生活の中で頻出するシチュエーションだが、実は一つ欠けているものがある。
「謝る」だ。
ここまで紹介してきたポイントを踏まえて、「断る」場合はどうしたらいいのか。断ることは勇気がいるが、明確な意思を伝えながらも、角が立たない言い方をするのが大人の断り方だ。
たとえば、目上の人の誘いを断る場合は、「予定が入っています」とただバッサリ断るのと、「また今度お誘いいただけると幸いです」とフォローの言葉を入れるのでは、相手に与える印象は違う(もちろん、本当に嫌な相手からの誘いもあるし、それならバッサリ断ればいいのだが)。
もうひとつ、先約があって断りたい場合。「予定がありまして」とそのまま言うのではなく、「あいにく先約がございまして」と、「あいにく」という言葉を言うことで残念に思っていることが相手に伝わる。
さまざまなシチュエーションに対応している本書。大人の「言い方」のフレーズを暗記してしまえば、言葉の引き出しも増え、社会人として、大人として、より円滑にコミュニケーションが取れるようになるはずだ。
(N・T /新刊J P編集部)
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