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カルビーに見るテレワークへのスムーズな移行の秘訣

  • 書名 『あなたのいるところが仕事場になる~「経営」「ワークスタイル」「地域社会」が一変するテレワーク社会の到来~』
  • 監修・編集・著者名森本登志男
  • 出版社名大和書房

新型コロナウウィルスの感染拡大の影響で、テレワークを導入する企業が増えている。これまで部分的・限定的な形ですでに導入していた企業ならばいいが、これまで「出社」が前提だった企業は、そもそも従業員が自宅で仕事をする準備が、規律の面でも設備の面でも整っていないケースが多いはずだ。テレワークを導入しようにも、どうしていいかわからず困っている、という企業もあるだろう。

■テレワークは企業のメリットにもなる

『あなたのいるところが仕事場になる~「経営」「ワークスタイル」「地域社会」が一変するテレワーク社会の到来~』(森本登志男著、大和書房刊)では、「地方」「企業」「働き手」の3つの違う視点からテレワークの必要性と効果、そしてスムーズな移行法を解説する。

まず、テレワークによって得られる効果だ。
一般的にはテレワークによってワークバランスが向上する、とされている。長い通勤時間や通勤ラッシュから解放され、ストレスの軽減によるメンタルヘルスの向上、自由な時間も増え、テレワークによるメリットがそのままワークバランスの向上につながる、というわけだ。

また、電話や話し声に邪魔されないなど、業務に集中する環境がつくりやすく、時間の使い方や自己管理能力も磨かれていくことで、生産性や効率もアップする。家族と過ごす時間、家事や育児の時間も取れるようになるので、暮らしの充実にもつながると考えられる。これは従業員だけでなく会社にとっても大きなメリットだ。

■カルビーに見るテレワーク浸透の秘訣

ただ、会社に出社するのが当たり前だった働き方を、どのようにすればテレワークへとスムーズに移行できるのか。

実際にテレワークを導入して成功しているのが、老舗の菓子・食品メーカーのカルビー株式会社だ。創業は1949年。70年近く菓子・食品業界をリードしてきたカルビーの歴史や実績から見ると、昔ながらの堅実な企業のイメージがあるかもしれないが、2009年にそれまでの同族経営を脱して、生え抜きの伊藤秀二氏を社長に、現会長の松本晃氏を社外から迎えたことで、オフィス改革や働き方改革などの本格的な経営革新が始まった。

新しい働き方を始めるときは、少なからず抵抗や障壁が生じるもの。テレワークやオフィスのフリーアドレス化をいち早く導入したカルビーでは、なぜ、これらの取り組みを機能させ、業績拡大までつなげられたのか。
一番大きな理由は「トップと社員の間に、考え方の隔たりがないこと」だという。カルビーでは「こういうことをするために、こういう制度や環境が必要なんだ」と、トップが社員に対して繰り返し説明することで、制度の意味合いやその先にある目的が社員に理解され、浸透していったという。

テレワーク可能な業種は今後、本格的にこの働き方を導入する企業も増えていき、さまざまな働き方をするのが当たり前になっていくだろう。従業員は働き方の変化に戸惑うことなく、仕事もプライベートも充実させる生活を送るために、そして経営サイドはオフィスワークを強いるよりも組織の生産性を高めて業績につなげるために、本書からリモートワークの理解を深めてみてはどうだろう。

(T.N/新刊JP編集部)

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