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読書好き・しみけんに聞いた「礎になっている一冊」とは?

  • 書名 AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!
  • 監修・編集・著者名しみけん
  • 出版社名扶桑社

AV男優のトップランナー・しみけんさんが、ついに「仕事論」をタイトルにした本を出版した。その名も『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社刊)だ。

実は本書、5年前に発売されて大きな話題を呼んだ『AV男優しみけん ~光り輝くクズでありたい』と同じ扶桑社からの出版で、まさに5年ぶりの「続編」であり「アップデート版」ともいえる一冊だ。
もちろん、この「仕事論」から読んでOK。AV男優の仕事、AV現場の裏話、性の不思議、そしてしみけんさんの仕事論と、とても濃厚な内容となっている。

新刊JP編集部によるしみけんさんへの直撃インタビュー!
ここでは読書が趣味の一つだというしみけんさんに本について話を聞いた。クイズ好きとしても知られているが、その礎になっている本があるそうで...!?

(新刊JP編集部)

■しみけんが影響を受けた本は、アメリカ横断ウルトラクイズ優勝者の一冊!

――「新刊JP」は本好きに向けたメディアなので、趣味の「読書」のお話について伺いたいと思います。読書にハマったのはいつ頃でしたか?

しみけん:そうですね。意識はしたことないけれど、子どもの頃から本好きだったのかな。図書館は毎日行ってましたよ。でも、全部読むのではなく、タイトルで選んで、中をパラ見して返すみたいな感じで。

――気になった本を本棚から取り出すみたいな。どんな本を手に取っていたのですか?

しみけん:僕、中2病だったんですよ。で、『アメリカ横断ウルトラクイズ』を観て、出題されたクイズの中に入っている人名だったり、あとは気になったキーワードにまつわる本を片っ端から読んでいました。「ダモクレスの剣」とか、「クラインの壺」とか。中2病っぽくないですか?
ただ、本の内容をちゃんと理解しないまま読んでいたと思います(笑)。

――分からないことがあるとすぐに調べるんですね。

しみけん:もちろんです。分からなくてつまずくタイミングって、いつも同じじゃないですか。例えば今なら「『鬼滅の刃』読んだ?」ってめちゃくちゃ言われますよね。で、毎回「読んでないよ」と言うのが嫌だから全部読もうと。映画もそうですね。「『スター・ウォーズ』の最新作観た?」と何度も聞かれるので、ちゃんとシリーズ観ようと。でもどこから観ていいのか分からない、みたいなね(笑)。

でも、『エヴァンゲリオン』と『半沢直樹』はまだ観ていないんですよ。これは僕の今の大きな課題です。

――先ほど、『週刊少年ジャンプ』黄金世代に影響を受けたとおっしゃっていましたが、特に影響を受けたマンガ作品はなんですか?

しみけん:これはもう『ドラゴンボール』です。

――おお!特にお気に入りのシーンやエピソードは?

しみけん:セル編で、トランクスが精神の時の部屋で修行を終えて、セルと戦うじゃないですか。そこで修行の成果で筋肉を膨らますんですけど、逆にそれでスピードが犠牲になってしまい、勝機がなくなってしまい、「殺せ......」と言う。あのシーンですね。

――そのエピソードのお気に入りポイントは?

しみけん:自分の矢印が間違った方向に行くと、こういう結果を招いてしまうのか、と。その不条理さが好きなんです(笑)

そういう意味では、キャラクターとしてはヤムチャも好きなんですよね。トップを突っ走っている人よりも、4、5番手でもがいている人の方が、人間臭さを感じます。
自分自身もそういう感じで、昔ソフトボールをしていたときに、打順が6番くらいだとすごく嬉しかったんです。1番や4番の方が目立つし、期待もされるけれど、その分期待を背負わないといけないじゃないですか。でも、6番って期待もそこまで強くないから、活躍した分、印象度が高くなる(笑)。そういうところが好きですね。

――期待されることが苦手だったりするんですか?

しみけん:いえ、期待されても無視しちゃう。向こうは勝手に期待しているだけで、僕の気持ちとベクトルが合っていないでしょ、と。もちろん全力は尽くすけれど、三振して「あーっ!」って言われても...という感じです。

――その性格、まさにピッチャー型ですね。

しみけん:あ、そうなんだ! ピッチャーだと元巨人の木田優夫投手や元ロッテの伊良部秀輝投手が好きした。もうストレートが走っているときは手をつけられないというね。

――では、活字の方でしみけんさんの礎になった本はありますか?

しみけん:『クイズは創造力〈理論篇〉』という、第13回アメリカ横断ウルトラクイズの優勝者である長戸勇人さんが執筆した本です。「どうやってクイズを作るのか」という作り手側の心理を因数分解して解説している一冊で、確か中学生のときに読んでから、これまで一番読み込んでいる本かもしれません。

――作り手側の心理、ですか。

しみけん;はい。例えば、『「おもしろい」という言葉は江戸時代には「おもくろい」と言っていた』という一文が設問の中に出てきたとします。
ここで注目すべきは、「江戸時代には」という限定を表す言葉です。これはおそらく江戸時代の文献に「おもくろい」という言葉を見つけたけれど、他の文献では見つからなかった。つまり、いつ使われていたかは江戸時代以外裏が取れていない、という意味が込められているという作り手の側の状況や心理が分かってきます。

他に、クイズの回答は解説で「へー」と思わせるための前振りであるとかそういう心理が載っていて、これは僕が人と会話するときに、「なぜこの人はこの言葉をチョイスしたのか」「なぜこんな問いかけをするのか」を考える上での基礎になっていると思いますね。

――なるほど。クイズを作る人の意図を読み解くような感じで。でも、相手を楽しませたり、驚かせたりできるクイズを作る人ってすごいと思います。

しみけん:そうですよね。クイズ作りをしたことがない人に「〇×クイズ」を作ってくださいと言ってみると、意外に「〇」が正解の問題しか作れなかったりするんです。ほかに、3択問題を作らせると、正解が真ん中の選択肢に寄っちゃったりする傾向があったり。

その後、『ドラゴン桜』を読んでいたときに、その心理を応用した入試問題の解き方が出てきたりして、「あ、これは『クイズの創造力』で知ったことだな」と思ったことがありますね。

■人生には3つの坂がある。「上り坂」「下り坂」そして...

――本書の最初と最後に触れられているのが「人生には3つの坂がある。」という話です。「上り坂」「下り坂」そして「まさか」と。ツイッターでもつぶやかれているのを見ましたが、普段からよく使われるんですか?

しみけん:はい。これ、本当に大好きなネタで、口癖のように言っています。

先日ブロッコリーを食べようとしたら腐っていて、「まさか」なんです。で、カミさん(はあちゅうさん)に「人生には何個の坂がある!?」と聞いたら、「けんちゃんの坂は1つでしょ」と全然相手にしてくれないんですよ(笑)。僕が負けじと「坂は3つある!それはなんだ!」と言ったら、「まさか、まさか、まさかです!」とカミさんも言い返してきて。そういう感じでよく使いますね。

でも、この世の中、予定通りに運ぶことの方が少ないじゃないですか。というか、絶対に予定通りいかないですよ。

――本やマンガにも「まさか」なシーンってたくさんありますけど、印象的な「まさか」ってありますか?

しみけん:それは『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王編で、天津飯が魔封波でピッコロを電子ジャーに封じ込もうとしたとき、電子ジャーに亀裂を見つけたあの瞬間ですね(笑)!あのシーンって僕らの日常でもよくあると思うんです。計画していたことがいきなりダメになったときの、人間の何とかしようという力はすごいという。

――ご自身で本を書かれる立場になって、新たな気付きはありましたか?

しみけん:発信する責任を考えるようになりました。僕の偏った考え方を読者が正しいと思ってしまうこともあるかもしれない。そこはメタ視点を持って、執筆に取り組まないといけないと思います。

――また、本の中でこれからやりたいことの一つに「性教育」をあげています。セカンドキャリアについて考えていることはありますか?

しみけん:もちろん、AV男優は生涯続けていきます。盾と剣の使い方を忘れたらいけませんし、それが一番です。だからセカンドキャリアというよりも、AVの世界の前線にいながら、この経験を発信していくという形でやっていきたいですね。もちろん、それが仕事につながればいいけれど。

――最後に、この本について新刊JPの読者の皆さんにアピールをお願いできればと思います。

しみけん:今、自分の生き方に悩んでいたり、ちょっと方向を変えたいと思っていたり、努力をしているけれど結果に結びつかないというときに、この本を役立ててもらえればと思います。

僕は常に100人中99人がやらないことをやってきました。それは1%の方をずっと選択してきたということです。そうして1%の人間になることができた。こういう努力の仕方もあるんだということを、ぜひこの本から見つけてもらえればいいですね。

(了)

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